薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 理論問題 - 問 162
脂質異常症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 フェノフィブラートは、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)を阻害し、血中トリグリセリドを低下させる。
2 アトルバスタチンは、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)還元酵素を阻害し、肝細胞の低密度リポタンパク質(LDL)受容体を増加させる。
3 コレスチミドは、LDLコレステロールの酸化を抑制する。
4 プロブコールは、LDL受容体に依存しない機構で血中LDLコレステロールを低下させ、家族性高コレステロール血症に奏効する。
5 ニセリトロールは、胆汁酸再吸収を抑制し、肝臓でのコレステロールから胆汁酸への異化を促進する。
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解答 2、4
1 誤
フェノフィブラートは、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)を刺激することにより、肝細胞における脂肪酸のβ酸化を促進し、トリグリセリド(TG)合成を低下させる。また、リポタンパクリパーゼ(LPL)活性化作用により、TGの加水分解を促進することで、血中TGを低下させる。
2 正
アトルバスタチンは、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG−CoA)還元酵素を阻害してコレステロールの生合成を抑制し、肝細胞中のコレステロール量を低下させ、肝細胞表面の低密度リポタンパク質(LDL)受容体を増加させる。その結果、血中LDLが肝臓に取り込まれることで、血清コレステロール値が低下する。
3 誤
コレスチミドは、陰イオン交換樹脂であり、腸管内で胆汁酸と結合し胆汁酸排泄を促進する。これにより、肝細胞内でコレステロールから胆汁酸への異化が亢進し、肝臓でのコレステロール需要が高まることで、肝細胞表面のLDL受容体数が増加し、血清LDL値が低下する。なお、設問文の作用機序は、プロブコールに関するものである。
4 正
プロブコールは、コレステロール異化排泄促進作用などを介して、LDL受容体に依存しない機構で血中LDLコレステロールを低下させる。
5 誤
ニセリトロールは、脂肪組織からの遊離脂肪酸の放出を抑制し、肝臓での超低比重リポタンパク質(VLDL)の合成を抑制することにより血清トリグリセリド量を低下させる。なお、設問文の作用機序は、コレスチミドやコレスチラミンに関するものである。
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