薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 実践問題 - 問 218,219
65歳女性。B細胞性非ホジキンリンパ腫と診断され、本日より外来にてR-CHOP療法施行のため来院した。診察後、以下の薬剤が処方された。
問218(実務)
この薬物療法を初めて受ける患者への指導内容として適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 人ごみへの外出は避け、外出から戻ったときは、うがいや手洗いをしてください。
2 体がだるく感じたときには、プレドニゾロン錠の服用を中止できます。
3 吐き気があるときは、食べられるものを少量ずつ食べるようにしてください。
4 インフュージョンリアクションを回避するため、解熱剤と抗アレルギー薬が処方されています。
5 本治療により脱毛が起こることがあります。
問219(物理・化学・生物)
下図は免疫グロブリンG(IgG)の模式図である。R-CHOP療法に用いられるリツキシマブに該当するのはどれか。1つ選べ。
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問218 解答 2
1 適切
R−CHOP療法施行中は、抗悪性腫瘍薬による骨髄抑制や副腎皮質ステロイド薬による免疫抑制により感染症に罹患するリスクが高まる。そのため、感染症を予防する目的で「人ごみへの外出は避け、外出から戻ったときは、うがいや手洗いをしてください。」と指導することは適切である。
2 不適切
プレドニゾロン錠は、副腎皮質ステロイド性薬であり、連用後自己判断で服用を中止すると、発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショック等の離脱症状があらわれることがある。そのため、プレドニゾロン錠の投与を中止する場合は徐々に減量するなど慎重に行わなければならない。よって、「体がだるく感じたときには、プレドニゾロン錠の服用を中止できます。」と指導することは適切ではない。
3 適切
リツキシマブやシクロホスファミドなどの抗悪性腫瘍薬の副作用として吐き気、嘔吐などの症状がみられることがある。そのため、「吐き気があるときは、食べられるものを少量ずつ食べるようにしてください。」と指導することは適切である。
4 適切
インフュージョンリアクションとは、分子標的薬投与後に発現する急性期の有害事象のことであり、リツキシマブ投与開始後30分〜2時間より現れる可能性がある。そのため、「インフュージョンリアクションを回避するため、解熱剤と抗アレルギー薬が処方されています。」と説明することは適切である。なお、インフュージョンリアクションにより、アナフィラキシー様症状、肺障害、心障害等の重篤な副作用が現れ、死亡に至った例も報告されている。
5 適切
抗悪性腫瘍薬の代表的な副作用として脱毛がある。そのため、「本治療により脱毛が起こることがあります。」と説明することは適切である。
問219 解答 1
リツキシマブは、キメラ型抗体であり、マウス由来の可変部とヒト由来の定常部を融合した構造をしており、選択肢1が該当する。なお、選択肢3はマウス抗体、選択肢4はヒト化抗体、選択肢5は完全ヒト型抗体の構造である。選択肢2のような抗体製剤は存在しない。
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