薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 実践問題 - 問 244,245
58歳男性。糖尿病のため、食事療法及び運動療法に加え、経口糖尿病治療薬による治療を受けていた。効果不十分のため、ペン型インスリン製剤を用いることになった。
問244(実務)
インスリン製剤の選択に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 超速効型及び速効型インスリン製剤は、インスリンの追加分泌を補うのに用いる。
2 持効型及び中間型インスリン製剤は、インスリンの基礎分泌を補うのに用いる。
3 スルホニル尿素系薬を併用する場合、速効型インスリン製剤を用いる。
4 混合型インスリン製剤を毎食前1日3回投与すると、生理的なインスリン動態に近づけることができる。
5 速効型インスリン製剤を毎食前1日3回投与し続けると、再び経口糖尿病薬に反応するようになることが期待できる。
問245(衛生)
医療機関に返却された針の廃棄方法で正しいのはどれか。2つ選べ。
1 回収した使用済み針の処理責任は、市町村が負う。
2 使用済み針と未使用の針は、廃棄前に必ず分別しなければならない。
3 使用済み針は、特別管理一般廃棄物として扱う。
4 使用済み針は、回収後滅菌しても感染性廃棄物と同様の扱いをする。
5 未使用の針は、感染性廃棄物と同様の扱いをする。
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問244 解答 3
正常なヒトにおいては、膵臓のランゲルハンス島β細胞から常に一定量のインスリンが分泌されている(基礎分泌)。また、食事の摂取により血糖値が上昇すると、血中の糖を細胞内に取り込んで蓄えたり、エネルギーに変換するためインスリンが分泌される(追加分泌)。
インスリン製剤は、作用時間の違いによって5種類(超速効型、速効型、混合型、中間型、持効型)に分類される。患者のインスリン分泌能に応じて使い分けることで、生理的なインスリン動態に近づけることができる。以下、インスリン製剤の種類を示す。
1 正しい
前記参照
2 正しい
前記参照
3 誤っている
スルホニル尿素系薬とインスリンを併用する場合、持効性インスリン製剤を用いる。なお、経口糖尿病治療薬と併用して持効型インスリン製剤を1日1回注射する治療法をBOT(basal supported oral therapy)という。
4 正しい
混合型インスリン製剤を使用することによって、基礎分泌と追加分泌の両方を補充することが可能である。よって、混合型インスリン製剤を毎食前1日3回投与すると、生理的なインスリン動態に近づけることができる。
5 正しい
経口糖尿病治療薬は、長期間使用することによって作用が低下することがある。長期間使用することによって経口糖尿病治療薬の作用が低下した際、経口糖尿病治療薬を中止し、インスリン療法に切り替えることによって膵臓を休ませることができ、インスリン分泌能が回復することがある。よって、速効型インスリン製剤を毎食前1日3回投与し続けると、再び経口糖尿病薬に反応するようになることが期待できる。
問245 解答 4、5
1 誤
回収した使用済み針は産業廃棄物に該当する。よって、処理責任は排出事業者である医療機関が負う。なお、一般廃棄物の処理責任は市町村が負う。
2 誤
使用済みの針は、感染性廃棄物として扱う。未使用の針は非感染性廃棄物であるが、非感染性の廃棄物であっても、鋭利なものや毒性を示すものについては、感染性廃棄物と同等の取扱いをする。よって、使用済み針と未使用の針は、廃棄前に必ずしも分別する必要はない。
3 誤
使用済み針は、特別管理産業廃棄物として扱う。なお、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性などヒトの健康または生活環境に被害を生じるおそれのあるものを特別管理産業廃棄物という。
4 正
使用済み針は、回収後に滅菌を行うと非感染性廃棄物に分類される。しかし、針は滅菌しても鋭利なものであるため、感染性廃棄物と同様の扱いをする。
5 正
解説2参照
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