薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 実践問題 - 問 248,249
55歳男性。前立腺肥大に伴う排尿障害に対して単剤で薬物治療中だったが、時々、急に抑えられないような強い尿意を感じるとの訴えがあったため、新たな薬剤が追加されて、次のような処方となった。
問248(実務)
この処方に関して患者に確認する内容として重要度が高いのはどれか。2つ選べ。
1 咳がひどく出ることはありませんか。
2 食欲不振になっていませんか。
3 味(甘、塩、酸、苦)を感じにくいことはありませんか。
4 めまいや立ちくらみを感じることはありませんか。
5 排尿した後に尿が残った感じはありませんか。
問249(薬理)
この患者において新たに追加された処方薬の作用機序はどれか。1つ選べ。
1 アドレナリンα1受容体遮断による尿道内圧の低下
2 アドレナリンβ2受容体刺激による外尿道括約筋の弛緩
3 アドレナリンβ3受容体刺激による膀胱排尿筋の収縮
4 アセチルコリンM2受容体刺激による内尿道括約筋の弛緩
5 アセチルコリンM3受容体遮断による膀胱排尿筋の弛緩
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問248 解答 4、5
本症例では、前立腺肥大症に伴う排尿障害に対してアドレナリンα1受容体遮断薬であるシロドシン錠が処方されていたが、強い尿意を感じるという訴えに対して過度の尿意を抑制するため抗コリン薬であるプロピベリン塩酸塩錠が追加されたと考えられる。
1 誤
シロドシン錠の副作用として咳が現れることがあるが、選択肢の中では重要度は高くない。
2 誤
シロドシン錠、プロピベリン塩酸塩錠ともに副作用として食欲不振が現れることがあるが、選択肢の中では重要度は高くない。
3 誤
プロピベリン塩酸塩錠の副作用として味覚異常が現れることがあるが、選択肢の中では重要度は高くない。
4 正
シロドシン錠の添付文書において重要な基本的注意に、「起立性低血圧があらわれることがあるので、体位変換による血圧変化に注意すること。」及び「めまいなどがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転など危険を伴う作業に従事する場合には注意させること。」と記載されている。また、プロピベリン塩酸塩錠の添付文書において重要な基本的注意に、「眼調節障害、眠気、めまいがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分に注意すること。」と記載されている。そのため、患者に「めまいや立ちくらみを感じることはありませんか。」と確認することは重要度が高いといえる。
5 正
プロピベリン塩酸塩錠は、前立腺肥大症等により排尿困難がある患者には慎重投与とされている。そのため、患者に「排尿した後に尿が残った感じはありませんか。」と確認することは重要度が高いといえる。
問249 解答 5
プロピベリン塩酸塩錠は、抗コリン薬であり、アセチルコリンM3受容体遮断作用及びCa2+チャネル遮断作用による膀胱排尿筋(膀胱平滑筋)弛緩作用を示すため、神経因性膀胱や過活動膀胱などに伴う頻尿に用いられる。
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