薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 実践問題 - 問 250,251
70歳男性。もともと歩行が困難であったが、最近、薬の飲み忘れが増え、通院も困難になってきた。医師の指示に基づき、保険薬局の薬剤師が在宅訪問薬剤管理を行うこととなった。
問250(実務)
在宅訪問において薬剤師に求められている行為としてふさわしくないのはどれか。1つ選べ。
1 残薬を整理し、処方量の調整を医師に提案する。
2 血圧などのバイタルサインをチェックし、医師に報告する。
3 コンプライアンスの向上を目的とし、剤形変更を医師に提案する。
4 家族から求めのあった口腔ケア用スポンジブラシを提供する。
5 患者の一部負担金を減免する。
問251(薬理)
処方された薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 アンギオテンシンⅡ受容体を遮断する。
2 セロトニン受容体を遮断する。
3 アセチルコリン受容体を遮断する。
4 グルタミン酸受容体を遮断する。
5 アドレナリン受容体を遮断する。
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問250 解答 5
1 ふさわしい
本患者は、問題文中に「最近、薬の飲み忘れが増え」と記載されていることから、残薬がある可能性は高い。そのため、在宅訪問において薬剤師が、残薬を整理し処方量の調整を医師に提案することは、薬剤師として適切な行為といえる。
2 ふさわしい
処方薬に降圧薬であるバルサルタン錠が処方されていることから、在宅訪問において薬剤師が、血圧などのバイタルサインをチェックし薬剤の効果や副作用の有無などを医師に報告することは、薬剤師として適切な行為といえる。
3 ふさわしい
本患者は、問題文中に「最近、薬の飲み忘れが増え」と記載されていることから、在宅訪問において薬剤師が、コンプライアンス向上を目的に剤形変更を医師に提案することは、薬剤師として適切な行為といえる。
4 ふさわしい
在宅訪問において薬剤師が、家族や本人から求めがあった場合に口腔ケア用スポンジブラシなどを提供することは、薬剤師として適切な行為といえる。
5 ふさわしくない
患者の一部負担金を減免するのは、在宅訪問において薬剤師に求められている行為ではない。
問251 解答 1、2
処方薬の作用機序は以下の通りである。
ドネペジル塩酸塩錠:アセチルコリンエステラーゼ阻害作用
バルサルタン錠:アンギオテンシンⅡAT1受容体遮断作用
アスピリン腸溶錠:シクロオキシゲナーゼ阻害作用
サルポグレラート塩酸塩錠:セロトニン5−HT2受容体遮断作用
1 正
アンギオテンシンⅡ受容体遮断作用は、バルサルタン錠の作用機序である。
2 正
セロトニン受容体遮断作用は、サルポグレラート塩酸塩錠の作用機序である。
3 誤
アセチルコリン受容体を遮断する代表的な薬物としては、ムスカリン性アセチルコリン受容体を遮断するアトロピンやニコチン性アセチルコリン受容体を遮断するベクロニウムなどが挙げられる。
4 誤
グルタミン酸受容体を遮断する代表的な薬物としては、メマンチンやケタミンなどが挙げられる。
5 誤
アドレナリン受容体を遮断する代表的な薬物としては、アドレナリンα受容体を遮断するフェントラミンやアドレナリンβ受容体を遮断するプロプラノロールなどが挙げられる。
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