薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 実践問題 - 問 258,259
62歳女性。3年前に糖尿病と診断され、処方1及び処方2で治療中。最近、手足に痛みやしびれ感があるため処方3が追加となった。
問258(実務)
処方3の服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 痛みやしびれ感の改善があれば、薬をやめても構いません。
2 アルコールは薬の作用に影響しますので、控えてください。
3 ぼんやりしたり、めまい、意識消失などが起こることがあります。
4 血液を固まりにくくし、血のめぐりを良くすることで痛みをやわらげます。
問259(薬理)
処方1〜3の薬物の作用機序として正しいのはどれか。2つ選べ。
1 アルドース還元酵素を阻害し、末梢神経障害を改善する。
2 AMP依存性プロテインキナーゼを活性化し、肝臓での糖新生を抑制する。
3 ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)を活性化し、インスリン抵抗性を改善する。
4 オピオイドµ受容体を刺激し、鎮痛作用を示す。
5 ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)を阻害し、インクレチンの作用を増強する。
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問258 解答 2、3
1 誤
プレガバリンの急激な投与中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、不安及び多汗症等の症状があらわれることがあるため、投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量する必要がある。そのため、プレガバリンカプセルの服用に関して、「痛みやしびれ感の改善があれば、薬をやめても構いません。」と服薬指導することは適切ではない。
2 正
アルコールは中枢抑制作用を有し、プレガバリンの中枢抑制作用に対して相加的に作用し、副作用発現の危険性を高めるため、プレガバリンは、アルコールとは併用注意である。そのため、プレガバリンカプセルの服用に関して、「アルコールは薬の作用に影響しますので、控えてください。」と服薬指導することは適切である。
3 正
プレガバリンの重大な副作用として、めまい、傾眠、意識消失があらわれ、転倒し骨折等に至ったとの報告があるため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止又は減量するなど、適切な処置を行う必要がある。そのため、プレガバリンカプセルの服用に関して、「ぼんやりしたり、めまい、意識消失などが起こることがあります。」と服薬指導することは適切である。
4 誤
プレガバリンは、神経伝達物質の遊離を抑制することで鎮痛作用を示す薬物である。そのため、プレガバリンカプセルの服用に関して、「血液を固まりにくくし、血のめぐりを良くすることで痛みをやわらげます。」と服薬指導することは適切ではない。
問259 解答 2、5
1 誤
アルドース還元酵素を阻害し、末梢神経障害を改善するのは、エパルレスタットである。
2 正
AMP依存性プロテインキナーゼを活性化し、肝臓での糖新生を抑制するのは、メトホルミン、ブホルミンである。
3 誤
ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)を活性化し、インスリン抵抗性を改善する薬物はない。なお、ピオグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(PPARγ)を活性化し、インスリン抵抗性を改善する。
4 誤
オピオイドµ受容体を刺激し、鎮痛作用を示すのは、モルヒネなどの鎮痛薬である。
5 正
ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)を阻害し、インクレチンの作用を増強するのは、アログリプチンなどのDPP−4阻害薬である。
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