薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 理論問題 - 問 108
下図は、ある化合物の1H−NMRスペクトル(400 MHz、CDCl3、基準物質はテトラメチルシラン(TMS))である。この化合物の構造式として正しいのはどれか。1つ選べ。なお、イのシグナルは一重線であり、拡大図A、B及びCの拡大率はそれぞれ異なる。また、エのシグナルはヒドロキシ基のプロトンに由来する。
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解答 1
本スペクトルの各シグナルは下記の①〜④のように推定される。
①ア(6H、二重線)、ウのシグナル(1H、多重線)
アのシグナルは、イソプロピル基(CH3−CH−CH3)の2つの等価なCH3に由来するシグナルであると推定される(選択肢1、2が該当)。また、ウのシグナルは、イソプロピル基のメチンプロトン(−CH−)に由来するシグナルであると推定される。
②イのシグナル(2.3 ppm付近、3H、一重線)
イのシグナルは、化学シフト値(ppm)からベンゼン環に結合しており、一重線の3Hから隣接するプロトンの存在しないメチル基(−CH3)に由来するシグナルと推定される(選択肢1、4、5が該当)。
③オ、カ、キのシグナル(6.0〜8.0 ppm付近)
オ、カ、キのシグナルは、化学シフト値(ppm)からベンゼン環に直接結合したプロトンのシグナルであると考えられ、それぞれ1H分のシグナルが現れていることから、この化合物は三置換ベンゼンであると推定される(選択肢1、2、3、4が該当)。
④ア〜キのシグナル
ア〜キのシグナルのプロトンの数を合計すると14H(選択肢1、2が該当)になる。
以上より本スペクトルに該当する化合物は、選択肢1(チモール)であると推定される。
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