薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 理論問題 - 問 116
真核細胞におけるmRNAからタンパク質への翻訳過程に関する記述について、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 翻訳過程は、開始、伸長及び終結の3段階の反応により完結する。
2 遺伝子の転写反応が完結する前に、翻訳開始反応が起こる。
3 翻訳開始反応は、mRNAの5’末端側から3’末端側の方向に進行する。
4 リボソームがもつペプチジルトランスフェラーゼ活性により、ペプチド鎖伸長反応が起こる。
5 アミノアシルtRNAの生成には、ATPのエネルギーを利用してアミノ酸が活性化される必要がある。
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解答 2
1 正
翻訳過程は、開始、伸長及び終結の3段階の反応により行われる。
開始:mRNAの開始コドンに対応するアミノアシルtRNAが結合することにより行われる。
伸長:リボソームのPサイトのアミノ酸やペプチドがリボソームの有するペプチジルトランスフェラーゼ活性によりAサイトのアミノ酸に転移し、ペプチドの伸長が行われる。
終結:終止コドンに遊離因子が結合することで、ペプチド鎖がリボソームから切り離され、翻訳が終結する。
2 誤
翻訳開始反応は、遺伝子の転写反応の完結後に起こる。
翻訳の開始過程では、リボソーム、mRNA、メチオニルtRNAが開始複合体を形成する必要がある。このmRNAは核内において転写反応より生成し、翻訳開始複合体を形成する。したがって、遺伝子の転写反応が完結する前に、翻訳開始反応が起こることはない。
3 正
真核細胞における翻訳開始反応では、まずmRNAの5’末端のキャップ構造が40Sリボソームに結合する。その後、40SリボソームはmRNAの5’末端側から3’末端側に移動し、開始コドンに到達すると開始コドンに対応するアミノアシルtRNAが結合することで翻訳が開始される。
4 正
リボソームは、rRNAとタンパク質の複合体であり、rRNAはペプチジルトランスフェラーゼ活性を有している。ペプチジルトランスフェラーゼは、リボソームのPサイトのアミノ酸またはペプチドをAサイトに運搬されてきたアミノ酸に転移することでペプチド鎖の伸長反応に関与する。
5 正
アミノアシルtRNAは、tRNAにアミノ酸が結合したものであり、その生成は、アミノアシルtRNA合成酵素によって触媒され、ATPのエネルギーを利用する。
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