薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 理論問題 - 問 136
放射線の線量に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 実効線量とは、物理的な測定値ではなく、放射線による発がんと遺伝的影響を評価するために用いられる線量である。
2 実効線量を求めるのに用いられる組織荷重係数は、肝臓が最も大きい。
3 等価線量を求めるのに用いられる放射線荷重係数は、α線の方がγ線より大きい。
4 等価線量を表す単位としてグレイ(Gy)、実効線量を表す単位としてシーベルト(Sv)が用いられる。
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解答 1、3
放射線の線量には、吸収線量、等価線量、実効線量などがある。
吸収線量(単位:グレイGy)とは、物質が単位質量あたりに吸収する放射線エネルギー量である。
また、等価線量(単位:シーベルトSv)とは、人体への影響を表した放射線量のことである。人体への影響は、放射線の種類により異なり、等価線量は①式より求めることができる。
等価線量=吸収線量×放射線荷重係数……①
放射線荷重係数は、放射線の種類と放射線の人体への影響の関係を考慮した係数のことであり、吸収線量が同じ場合、γ線の影響を1として、他の放射線は以下の数値で表される。
等価線量と同様に人体への影響を表した放射線量として用いられるものには、実効線量(単位:シーベルトSv)があり、実効線量は各臓器、各組織による放射線感受性を考慮した生体影響を表した放射線量のことである。各臓器、各組織により放射線感受性は異なるため、実効線量は、各臓器の等価線量に組織荷重係数を乗じ、全身で受けた放射線量の総和として②式により求めることができる。実効線量は人における発がんや遺伝的影響など確率的影響を評価するために用いられる線量である。
実効線量=Σ(各臓器の等価線量×組織荷重係数)……②
この際用いられる組織荷重係数は、全身が均等に被爆した場合の全リスクを1としたときの各組織のリスク比であり、細胞分裂が盛んな組織ほど、未分化である細胞ほど高くなる傾向がある。
1 正
前記参照
2 誤
組織荷重係数は、肝臓よりも肺や胃、生殖器などの方が高い(前記参照)。
3 正
前記参照
4 誤
等価線量、実効線量ともにシーベルト(Sv)が単位として用いられる(前記参照)。
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