薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 理論問題 - 問 156
痛みを伴う疾患に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 アミトリプチリンは、下行性疼痛抑制系の神経終末でのセロトニン及びノルアドレナリン再取り込みを阻害し、痛覚情報伝達を抑制する。
2 トラマドールは、シクロオキシゲナーゼ−2を阻害し、プロスタグランジンの産生を抑制する。
3 プレガバリンは、求心性一次知覚神経の電位依存性Ca2+チャネルのα2δサブユニットに結合し、神経伝達物質の遊離を抑制する。
4 スマトリプタンは、セロトニン5−HT1B/1D受容体を遮断し、片頭痛を緩和する。
5 デュロキセチンは、γ−アミノ酪酸GABAB受容体を刺激し、筋緊張を伴う疼痛を緩和する。
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解答 1、3
1 正
アミトリプチンは、下行性疼痛抑制系の神経終末でのセロトニン及びノルアドレナリン再取り込みを阻害し、下行性疼痛抑制機能を増強することで鎮痛作用を示す。
2 誤
トラマドールは、オピオイドµ受容体刺激作用及びノルアドレナリン・セロトニンの再取り込み阻害を介して鎮痛作用を示す。なお、シクロオキシゲナーゼ-2を阻害し、プロスタグランジンの産生を抑制することで鎮痛作用を示す薬物として、アスピリンやロキソプロフェンナトリウムなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)がある。
3 正
プレガバリンは、求心性一次知覚神経の電位依存性Ca2+チャネルのα2δサブユニットに結合し、グルタミン酸やサブスタンスPなどの情報伝達物質の遊離を抑制することで鎮痛作用を示す。
4 誤
スマトリプタンは、セロトニン5−HT1B/1D受容体を刺激し、脳血管を収縮させることで片頭痛の発作時の痛みを緩和する。
5 誤
デュロキセチンは、選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であり、脳内におけるノルアドレナリン及びセロトニンの神経終末への再取り込みを抑制することによって抗うつ作用を示すほか、アミトリプチリンと同様の鎮痛作用を示す。なお、γ−アミノ酪酸GABAB受容体を刺激し、筋緊張を伴う疼痛を緩和する薬物は、バクロフェンである。
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