薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 理論問題 - 問 168
抗不整脈薬の体内動態に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 キニジンは、腎尿細管分泌によって大部分が未変化体のまま排泄されるため、肝障害が全身クリアランスに及ぼす影響は小さい。
2 心筋梗塞時にはα1−酸性糖タンパク質の血漿中濃度が減少し、ジソピラミドの全身クリアランスが上昇する。
3 ジルチアゼムは、腎臓からの未変化体の排泄率が高いため、腎障害時には全身クリアランスが低下する。
4 プロカインアミドは、腎尿細管において有機アニオン輸送系を介して分泌されるため、プロベネシドの併用により全身クリアランスが低下する。
5 心拍出量が減少したうっ血性心不全の患者では、健常人に比べ、プロプラノロールの全身クリアランスが低下する。
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解答 5
1 誤
キニジンは、投与量の約20%は未変化体のまま尿中に排泄されるが、主に肝臓で代謝される肝消失型薬物である。そのため、肝障害が全身クリアランスに及ぼす影響は大きい。
2 誤
心筋梗塞時にはα1−酸性糖タンパク質の血漿中濃度が増加する。ジソピラミドは塩基性薬物であり、α1−酸性糖タンパク質と親和性が高く強く結合する。そのため、心筋梗塞時にはジソピラミドの血漿タンパク非結合率が低下し、組織移行性が小さくなるため、全身クリアランスは低下する。
3 誤
ジルチアゼムは、主に肝臓で代謝される肝消失型薬物である。そのため、腎障害によって腎機能が低下している場合においても、全身クリアランスはほとんど変化しない。
4 誤
プロカインアミドは、腎尿細管において有機カチオン輸送系を介して分泌される薬物であり、プロベネシドは有機アニオン輸送系を介して分泌される薬物である。そのため、両薬物を併用しても競合阻害などの相互作用は生じず、全身クリアランスは変化しない。
5 正
プロプラノロールは肝血流量依存性薬物であり、肝クリアランスが肝血流量に依存する。そのため、心拍出量が減少したうっ血性心不全の患者では、健常人に比べ、肝血液量が低下することから、プロプラノロールの肝クリアランスが低下し、全身クリアランスが低下する。
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