薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 理論問題 - 問 113
図に示すグリコーゲン代謝及び解糖系(一部)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 反応①において、グルコース1−リン酸は、グリコーゲンの加水分解により生じる。
2 反応②によるグルコース6−リン酸の生成では、ATPが消費される。
3 反応③では、ADPからATPが産生される。
4 反応④を触媒する酵素は、肝臓に存在するが、骨格筋には存在しない。
5 反応⑤を触媒する酵素の活性は、細胞内に過剰に蓄積したATPにより阻害される。
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解答 4、5
1 誤
反応①は、グリコーゲンホスホリラーゼにより触媒される加リン酸分解反応である。グリコーゲンホスホリラーゼは、グルカゴンなどの作用により活性化され、グリコーゲンを加リン酸分解してグルコース1−リン酸を遊離する。
2 誤
反応②は、ホスホグルコムターゼによるグルコース1−リン酸からグルコース6−リン酸への変換反応であり、本反応では、ATPは消費されない。
3 誤
反応③ではヘキソキナーゼの作用により、ATPのリン酸基がグルコースに転移され、グルコース6−リン酸とADPが生成する。したがって、反応③においては、ATPが消費されADPが生成する。
4 正
反応④を触媒する酵素は、グルコース6−ホスファターゼであり、グルコース6−リン酸の脱リン酸化反応に関与する。グルコース6−ホスファターゼは、肝臓や腎臓で活性が高く、肝臓に貯蔵されたグリコーゲンのグルコースへの変換に関与することで、血糖供給に用いられる。また、筋肉や脳ではグルコース6−ホスファターゼの活性がないため、筋肉に貯蔵されたグリコーゲンは血糖供給には利用されず、生成したグルコース6−リン酸は解糖系に合流しエネルギーの供給に関与する。
5 正
反応⑤を触媒する酵素はホスホフルクトキナーゼであり、解糖系における代謝調節に関与するアロステリック酵素である。本酵素の調節には、アロステリックエフェクターが関与し、ADP、AMPなどは正のアロステリックエフェクターとして酵素活性を高めて反応を促進し、ATPやクエン酸などは負のアロステリックエフェクターとして酵素活性を低下させ反応を抑制する。
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