薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 理論問題 - 問 124
食中毒に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 蜂蜜にはボツリヌス菌の芽胞が含まれることがあるため、腸内細菌叢が未熟な乳児が蜂蜜を摂取すると、ボツリヌス症を発症し、呼吸困難や呼吸停止に陥ることがある。
2 生魚摂取により生じるクドアやアニサキスなどの寄生虫による食中毒は、生魚を長時間冷凍しても防ぐことはできない。
3 ジャガイモの芽や皮の部分に多く含まれるソラニンやチャコニンは熱に不安定なため、加熱処理によりこれらによる食中毒を防ぐことができる。
4 イヌサフランの球根にはコルヒチンが含まれるため、誤食すると呼吸不全等を起こし死に至ることがある。
5 シガテラの原因となる魚類は主に熱帯から亜熱帯にかけて生息しているため、我が国ではシガテラ発症の報告はない。
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解答 1、4
1 正
通常、成人であれば腸内細菌叢が整っているため、ボツリヌス菌の芽胞を摂取しても感染することはほとんどない。一方、乳児は、腸内細菌叢が未熟であるため、ボツリヌス菌が腸内で増殖して毒素を産生し、便秘、哺乳力の低下、呼吸停止など(乳児ボツリヌス症)を引き起こすことがある。なお、蜂蜜にはボツリヌス菌の芽胞が含まれることがあるため、1歳未満の乳児に蜂蜜を与えてはならないとされている。
2 誤
クドアやアニサキスなどの寄生虫による食中毒は、食品の加熱や冷凍によって防ぐことができる。
3 誤
ソラニンやチャコニンは、ジャガイモの芽や緑皮部に多く含まれる有毒成分であり、熱に安定なため加熱処理によってこれらによる食中毒を防ぐことはできない。なお、ソラニンやチャコニンによる食中毒は、ジャガイモの芽や緑皮部を除去することで防ぐことができる。
4 正
コルヒチンは、イヌサフランの球根に含まれる有毒成分であり、過量摂取により嘔吐、下痢、呼吸困難等を引き起こし、重症の場合は死に至ることもある。
5 誤
我が国でもシガテラ発症の報告はある。シガテラの原因となる魚類(シガテラ毒魚)は主に熱帯から亜熱帯にかけて生息しているが、日本では主に沖縄県周辺の海域に生息している。また、近年では海水温の上昇に伴いシガテラ毒魚の生息地帯が広がっているため、九州や本州でもシガテラ発症が報告されている。
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