薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 理論問題 - 問 182
65歳女性。脳血管疾患の既往無し。数年前より軽度認知障害があり、CT検査で大脳皮質の萎縮が認められ、アルツハイマー病と診断された。下記の処方で服薬は正しくなされていた。最近、見当識障害や判断能力が悪化し、日常生活に介助が必要となることが多くなったため、心配した家族に同伴されて病院を受診した。本患者の今後の薬物治療方針として正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ドネペジル塩酸塩の増量
2 リバスチグミンの併用
3 ガランタミン臭化水素酸塩の併用
4 メマンチン塩酸塩の併用
5 メチルフェニデート塩酸塩の併用
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解答 1、4
1 正
ドネペジル塩酸塩は中枢性コリンエステラーゼ阻害薬であり、1日1回3 mgから投与を開始し、1〜2週間後に5 mgに増量する。また高度のアルツハイマー病の治療には、4週間1日1回5 mgで投与経過後、10 mgに増量する。
本患者は28日間(4週間)の5 mg投与でも症状が改善せず、むしろ悪化しているため、高度のアルツハイマー病としてドネペジル塩酸塩の10 mgへの増量を検討する。
2 誤
リバスチグミンはコリンエステラーゼ阻害薬であり、ドネペジル塩酸塩と同じ作用機序をもつ同種同効薬であるため併用はしない。
3 誤
ガランタミン臭化水素酸塩はコリンエステラーゼ阻害薬であり、ドネペジル塩酸塩と同じ作用機序をもつ同種同効薬であるため併用はしない。
4 正
メマンチン塩酸塩はグルタミン酸NMDA受容体拮抗薬であり、中等度〜高度のアルツハイマー病の治療に用いられる。また、ドネペジル塩酸塩と作用機序も異なるため、併用可能である。
5 誤
メチルフェニデート塩酸塩は中枢興奮薬であり、注意欠陥・多動性障害(AD/HD)やナルコレプシーの治療には用いられるが、アルツハイマー病の治療には用いられない。
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