薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 理論問題 - 問 186
8歳男児。学校の授業中に先生の話を聞いていない。着席しても落ち着かず、離席もあり、集中できず、ミスが多く、忘れっぽい。休み時間に大声を出したり、動き回ったりし、順番を待つことができない。知能は正常であるが周囲の子ども達となじめず、親が心配して病院を受診させたところ、注意欠陥・多動性障害と診断された。
この疾患の病態及び薬物療法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 メチルフェニデート塩酸塩徐放錠が使用できる。
2 アトモキセチン塩酸塩は他の治療薬に比べて依存性が強い。
3 環境調節などの配慮の必要はない。
4 主症状には、不注意、多動性、衝動性の3つがある。
5 主症状は成人期以降に消失する。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
解答 1、4
注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、「不注意、多動性、衝動性」を三大主徴とする発達障害であり、学童期の男児に発症することが多い。治療においては、メチルフェニデート塩酸塩やアトモキセチン塩酸塩などの薬物による治療を行うほか、患者の注意力などが散漫になりにくいような環境調節など、周りのサポートも重要となる。
1 正
メチルフェニデート塩酸塩は、ドパミンおよびノルアドレナリントランスポーターに結合し、それらの再取り込みを阻害することで、シナプス間隙のドパミンおよびノルアドレナリンの濃度を増加させる中枢神経刺激薬であり、ADHDの治療に用いられる。
2 誤
アトモキセチン塩酸塩は、ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害することによりADHDの治療に用いられるが、メチルフェニデート塩酸塩とは薬理作用の異なる非中枢神経刺激薬であるため、依存性は低い。
3 誤
前記参照
4 正
前記参照
5 誤
ADHDは、一度発症してしまうと成人期以降になっても症状が持続する例が多く、社会に出てからもその症状が問題となることがある。
-
解説動画1 ( 05:06 )
-
※ この解説動画は 60 秒まで再生可能です
再生速度
|
|
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿