薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 実践問題 - 問 240,241
74歳男性。認知症。最近、異食をすることがあるため家族は気をつけていたが、一時間ほど目を離した際にエチレングリコール入り保冷剤を飲み込み、嘔気、頭痛、めまいを訴えたため、救急搬送された。
問240(実務)
担当医師より、解毒薬のホメピゾール(4–メチルピラゾール)がないか薬剤部に問い合わせがあったが、在庫がなかった。代わりに医師に提案するものとして最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1 エタノール
2 プラリドキシムヨウ化物
3 チオ硫酸ナトリウム
4 亜硝酸ナトリウム
5 ホリナートカルシウム
問241(衛生)
エチレングリコールの摂取により、尿細管に不溶性の塩が析出し腎障害が起こることがある。この不溶性の塩を形成するエチレングリコールの代謝物はどれか。1つ選べ。
1 シュウ酸
2 酢酸
3 尿酸
4 アセトアルデヒド
5 グリセロール
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問240 解答 1
エチレングリコールは、誤飲・誤食により、嘔気、頭痛、めまいなどの症状を引き起こし、重症例では、エチレングリコールの代謝物であるシュウ酸により尿細管に不溶性の塩が析出し、重度の腎障害を引き起こすことがある。
エチレングリコールによる中毒の解毒薬として、ホメピゾールやエタノールが用いられている。ホメピゾールやエタノールは、肝臓においてエチレングリコールの代謝に関わるアルコール脱水素酵素(ADH)を競合的に阻害することにより、代謝物であるシュウ酸の生成を阻害する。
1 正
上記参照
2 誤
プラリドキシムヨウ化物(PAM)は、有機リン系農薬による中毒の解毒に用いられ、リン酸化されたアセチルコリンエステラーゼを再賦活化する。
3 誤
チオ硫酸ナトリウムは、シアン中毒の解毒に用いられ、シアン化物イオン(CN-)を毒性の低いチオシアン酸イオン(SCN-)へ代謝する酵素であるロダネーゼの作用を促進する。
4 誤
亜硝酸ナトリウムは、シアン中毒の解毒に用いられ、ヘモグロビンをメトヘモグロビンに酸化したのち、シアン化物イオンと結合させることで、シアノメトヘモグロビンを生成し毒性を軽減する。
5 誤
ホリナートカルシウムは、ギ酸の代謝を促進する。なお、エチレングリコールは一部毒性の高いギ酸に代謝されるため、ホリナートカルシウムの投与は有効であると考えられるが、ホメピゾールの代替薬としては適切ではない。
問241 解答 1
問240解説参照
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