薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 実践問題 - 問 246,247
66歳男性。内科で処方された以下の薬剤(処方1、2)を指示通りに服用していた。別の病院の泌尿器科を受診し、前立腺肥大症と診断された。泌尿器科で処方された前立腺肥大症治療薬を自宅で服用したところ、ひどい立ちくらみが起こり救急車で搬送され、血圧降下が原因と診断された。
問246(実務)
泌尿器科から処方された前立腺肥大症治療薬で、上記処方薬との併用で強い血圧降下の原因となった可能性があるのはどれか。1つ選べ。
1 ナフトピジル
2 デュタステリド
3 アリルエストレノール
4 セルニチンポーレンエキス
5 ビカルタミド
問247(薬理)
この患者で立ちくらみの原因となった薬の作用点はどれか。2つ選べ。
1 アドレナリンα1受容体
2 アンギオテンシンⅡAT1受容体
3 H+,K+-ATPase
4 シクロオキシゲナーゼ
5 アンドロゲン受容体
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問246 解答 1
選択肢のうち、処方薬との併用で強い血圧降下の原因となった可能性があるのは、ナフトピジル(選択肢1)であると考えられる。ナフトピジルは、アドレナリンα1受容体を遮断することによって降圧作用を示すため、他の降圧薬と併用する際に注意が必要である。
本患者に処方されている薬物のうち、オルメサルタンメドキソミルは、アンギオテンシンⅡAT1受容体を遮断することによって降圧作用を示す。
1 正
ナフトピジルは、前立腺部及び尿道に存在するα1D受容体遮断作用により、前立腺平滑筋及び尿道平滑筋を弛緩することで、尿道内圧を低下させ前立腺肥大に伴う排尿障害を改善する。ナフトピジルは、前立腺平滑筋及び尿道平滑筋に対して選択制の高い薬物だが、血管平滑筋のアドレナリンα1受容体を遮断することで血管平滑筋を弛緩させ、血圧を低下させることがある。
2 誤
デュタステリドは、テストステロンをジヒドロテストステロンへ変換する1型及び2型の5α還元酵素を阻害することで、男性ホルモンによる前立腺肥大を抑制する。
3 誤
アリルエストレノールは、抗アンドロゲン薬であり、前立腺においてアンドロゲンと競合的に拮抗することで、前立腺の肥大抑制、肥大結節の縮小効果を発揮すると考えられている。
4 誤
セルニチンポーレンエキスは、植物の花粉の混合物を含むエキス製剤であり、慢性前立腺炎や初期前立腺肥大症に伴う排尿困難、頻尿などの改善に用いられる。
5 誤
ビカルタミドは、抗アンドロゲン薬であり、前立腺腫瘍組織のアンドロゲン受容体を競合的に遮断し、前立腺がん細胞の増殖を抑制する。
問247 解答 1、2
問246解説参照
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