薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 実践問題 - 問 286,287
24歳男性。悪性リンパ腫に対して外来化学療法を実施予定である。外来化学療法室で、薬剤師がレジメンチェックを行った。
問286(実務)
医師に確認又は提案すべき内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 リツキシマブ注射剤の投与前に、B型肝炎ウィルス感染の有無を確認する。
2 シクロホスファミド水和物注射剤の投与後は、しびれなどの末梢神経障害の発現に注意する。
3 ドキソルビシン塩酸塩注射剤の投与が長期化する際には、総投与量(累積投与量)に注意する。
4 ビンクリスチン硫酸塩注射剤の投与後は、出血性膀胱炎の発現に注意する。
問287(病態・薬物治療)
R-CHOP療法の実施により、急に尿量の減少と浮腫を認めたため外来受診した。その際に血液検査で認められる異常所見として可能性が高いのはどれか。2つ選べ。
1 高尿酸血症
2 低カリウム血症
3 高ナトリウム血症
4 高カルシウム血症
5 高リン血症
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問286 解答 1、3
1 正
リツキシマブは治療中に、B型肝炎ウィルスキャリアの患者又は既往感染者での劇症肝炎や肝炎の増悪による死亡例により安全性報告(ブルーレター)が発出されている。
そのため、リツキシマブ注射剤の投与前には、B型肝炎ウィルス感染の有無を確認する必要がある。
2 誤
シクロホスファミド水和物注射剤の投与後に注意する必要のある副作用としては、出血性膀胱炎や骨髄抑制があげられる。なお、本レジメンにおいて、しびれなどの末梢神経障害の発現に注意する必要のある薬剤はビンクリスチン硫酸塩である。
3 正
ドキソルビシン塩酸塩は、総投与量が500 mg/m2を越えると重篤な心筋障害を生じる危険がある。そのため、投与が長期化する際には、総投与量(累積投与量)に注意する必要がある。
4 誤
解説2参照
問287 解答 1、5
悪性リンパ腫のような造血腫瘍へのR-CHOP療法の実施において、急に尿量の減少と浮腫を認めたことから、本患者は腫瘍崩壊症候群による急性腎不全を発症していると推測される。
腫瘍崩壊症候群は、血液中における腫瘍細胞の急速な崩壊により、細胞内成分とその代謝物が腎の生理的排泄能力を超えて体内に蓄積し、尿酸・リン・カリウムの血中濃度上昇、乳酸アシドーシス、リン酸の増加に伴い血中カルシウムが消費され生じる低カルシウム血症が起こる。さらには、高尿酸血症による痛風腎に伴う急性腎不全など、様々な病態を生じる。
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解説動画1 ( 06:17 )
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