薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 理論問題 - 問 182
50歳男性。飲酒後から持続的な上腹部痛及び悪心があった。数日間、様子を見ていたが、発熱と軽度の意識障害が起こったため、病院を受診した。腹部CTにより膵臓の腫大が認められた。この患者の病態、検査及び薬物療法に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 飲酒歴と胆石症の既往の有無を確認する。
2 血液検査でアミラーゼ、リパーゼの活性低下が見られる。
3 膵機能を改善させるため、十分な食事を摂らせる。
4 病態の進展を抑制するため、ガベキサートメシル酸塩静注用を投与する。
5 上腹部痛にペンタゾシン注を用いると、病態を悪化させる。
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解答 1、4
飲酒後の持続的な上腹部痛及び悪心、その後、発熱と軽度の意識障害を認めた点、腹部CTで膵臓の腫大が認められた点から急性膵炎であると判断できる。急性膵炎とは、アルコールの摂取や胆石症により膵臓内で消化酵素である膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン、エラスターゼなど)が異常に活性化され、膵臓や周辺組織を自己消化してしまう疾患である。
1 正
急性膵炎では、飲酒歴や胆石症の既往、家族歴の聴取、触診による圧痛や腹膜刺激症状の確認などの身体診察を実施する。
2 誤
急性膵炎では、膵細胞の破壊によりアミラーゼやリパーゼなどの膵酵素が逸脱するため、血液検査にて、膵酵素の活性亢進を認める。
3 誤
急性膵炎の治療としては、膵液の分泌抑制として絶食を、急性循環障害の改善として十分な量の輸液の投与を行う。
4 正
エラスターゼなどの膵酵素の活性亢進に伴う病態進展抑制を目的に、タンパク分解酵素阻害薬のガベキサートメシル酸塩が用いられる。
5 誤
急性膵炎の上腹部痛に対しては、ペンタゾシンやブプレノルフィンなどの非麻薬性鎮痛薬が用いられる。なお、ペンタゾシンやブプレノルフィンはOddi括約筋収縮作用がほとんどないため、病態を悪化させることはない。
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