薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 実践問題 - 問 334
72歳女性。体重40 kg。肺がんステージⅣで、緩和病棟に入院することになった。薬剤管理指導時、「最近、疼痛時の薬を飲んだ後、2時間くらいすると周りの景色がゆがんだりすることがあります。」と訴えがあった。レスキュー薬は1日1回程度服用することで、疼痛コントロールはできている。
現在服用中の処方薬及び検査所見は下記の通りである。
検査所見:血圧110/80 mmHg、体温37.5℃、脈拍78回/分(整)、AST 35 IU/L、ALT 40 IU/L、BUN 30 mg/dL、血清クレアチニン値1.5 mg/dL、下肢の浮腫(2+)
患者の状態を薬学的観点から判断するため、SOAP方式でこの患者の指導記録を作成した。その内容の組合せのうち、適切なのはどれか。1つ選べ。
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解答 4
本患者は、BUN 30 mg/dL(基準値:20 mg/dL以下)、血清クレアチニン値1.5 mg/dL(基準値:1.0 mg/dL以下)、下肢の浮腫(2+)という検査所見より、腎機能の低下がみられる。
また、「最近、疼痛時の薬を飲んだ後、2時間くらいすると周りの景色がゆがんだりすることがあります」と訴えがあることから、腎排泄の低下によりモルヒネの活性代謝物であるモルヒネ−6−グルクロニド(M6G)の血中濃度が上昇してしまい、副作用が発現していると推測される。
また、SOAP形式では、S(Subjective data:主訴や患者の訴えなどの主観的情報)、O(Objective data:理学的所見などの客観的情報)、A(Assessment:評価、分析など)、P(Plan:検査や治療の指針、今後の治療計画など)に分けて患者情報を記載する。
したがって、SOAP形式で本患者の指導記録を作成した場合、Sには「レスキュー薬服用後、周りの景色がゆがむ」(患者の訴え)、Oには「モルヒネ錠120 mg、モルヒネ液20 mg、BUN 30 mg/dL、血清クレアチニン値1.5 mg/dL、浮腫(2+)」(服用薬及び検査値)、Aには「腎機能低下によるモルヒネ代謝物排泄遅延の可能性」(SとOから得られる薬剤師の判断)、Pには「モルヒネ液の減量を提案する」(Aに基づいた問題解決のための計画)を記入するのが適切である。
なお、本患者の肝機能は正常であり、またモルヒネとラメルテオンの相互作用は報告されていない。
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