薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 必須問題 - 問 48
濃度0.01 mol/kgの水溶液にしたとき、凝固点降下度が最も大きいのはどれか。1つ選べ。
1 D−グルコース
2 L−アスコルビン酸ナトリウム
3 L−ロイシン
4 塩化カルシウム
5 塩化ナトリウム
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解答 4
凝固点降下度ΔTfは①式で表すことができ、ΔTfは溶質の質量モル濃度m(mol/kg)に比例する。
ΔTf = Kf・i・m … ①
Kf:モル凝固点降下定数(溶媒が水の場合、1.86 K・kg/mol)
i:van’t Hoff係数
設問文より「濃度0.01 mol/kgの水溶液」とあるため、m=0.01 mol/kg、Kf=1.86 K・kg/molとなり①式を変換すると②式となる。
ΔTf = 0.01 (mol/kg)・i・1.86 (K・kg/mol) = 0.0186・i (K) … ②
また、van’t Hoff係数iとは溶解による溶質粒子数の増加率を表し、③式で表すことができる。
i = 1 + (n−1)・α … ③
α:解離度
n:解離後のイオン数
②式と③式より、凝固点降下度ΔTfは④式で表される。
ΔTf = 0.0186・{1 + (n−1)・α}(K) … ④
非電解質であるD−グルコース(選択肢1)、L−ロイシン(選択肢3)は溶液中で解離しないため、α=0及びn=1であるため、④式より凝固点降下度は、ΔTf = 0.0186 Kとなる。
電解質であるL−アスコルビン酸ナトリウム(選択肢2)と塩化カルシウム(選択肢4)と塩化ナトリウム(選択肢5)は、溶液中で解離する。考え方を簡単にするためにα=1(全て解離)とする。
L−アスコルビン酸ナトリウム(選択肢2)と塩化ナトリウム(選択肢5)は、解離後のイオンの数n=2であるため、④式より凝固点降下度は、ΔTf = 0.0372 Kとなる。
また、塩化カルシウム(選択肢4)は解離後のイオンの数n=3であるため、④式より凝固点降下度は、ΔTf = 0.0558 Kとなる。
したがって、設問における物質のうち濃度0.01 mol/kgの水溶液にしたとき、凝固点降下度が最も大きいのは塩化カルシウムである。
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解説動画1 ( 04:33 )
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