薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 理論問題 - 問 115
糖及び糖鎖に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 グリコーゲンホスホリラーゼの触媒する反応により、グリコーゲンが加水分解されてグルコース1−リン酸が生じる。
2 哺乳類の細胞表面の膜タンパク質において、N−結合型糖鎖は主としてリシン残基に付加される。
3 A型インフルエンザウイルスは、宿主細胞膜上の糖鎖末端のシアル酸に結合する。
4 CHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)で産生させた遺伝子組換えモノクローナル抗体に付加する糖鎖は、一般的に均一なものとなる。
5 ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸は繰り返し構造をもったポリアニオンである。
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解答 3、5
1 誤
グリコーゲンホスホリラーゼは、グリコーゲンをグルコース単位に加リン酸分解反応を触媒する酵素である。グリコーゲンホスホリラーゼの加リン酸分解反応により、グリコーゲン末端のα−1,4結合が切断され、グルコース1−リン酸が生じる。
2 誤
哺乳類の細胞表面の膜タンパク質において、N−結合型糖鎖は主としてアスパラギン残基に付加される。糖鎖付加を受けやすいアミノ酸残基には、セリン残基、トレオニン残基及びアスパラギン残基がある。その内、セリン残基、トレオニン残基はOH基のO原子が糖鎖付加を受けやすく、アスパラギン残基はCONH2基のN原子が糖鎖付加を受けやすい。
3 正
シアル酸は、糖タンパク質や糖脂質がもつ糖鎖の構成成分であり、ヒトではN−アセチルノイラミン酸などがあり、細胞膜などに存在する。A型インフルエンザウイルスは、自身がもつHAタンパク質と宿主細胞の表面にあるシアル酸により修飾されたタンパク質に結合し、エンドサイトーシスにより宿主細胞へと取り込まれる。
4 誤
CHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)で産生させた遺伝子組換えモノクローナル抗体に付加する糖鎖は、ヒトが産生する糖鎖とは異なるため、一般的に不均一なものになりやすい。また、遺伝子組換えモノクローナル抗体は、ヒト由来の抗体とは異なる糖鎖構造をもつことがあるため、ヒトに投与すると抗原性を示すことがある。
5 正
ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカン(直鎖構造のヘテロ多糖)は、構造中に硫酸化された硫酸基やウロン酸由来のカルボキシ基をもつ。生体内では酸性基が解離するため、ポリアニオンとして存在する。
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