薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 理論問題 - 問 131
化学物質の主な有害作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 塩化ビニルモノマーは、膀胱がんを引き起こす。
2 フェニトロチオンは、近位尿細管細胞に蓄積して腎障害を引き起こす。
3 アスベストは、肺がんや悪性中皮腫の原因となる。
4 ベンジジンは、造血機能障害を引き起こす。
5 シアン化水素は、シトクロムオキシダーゼを阻害して細胞呼吸を停止させる。
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解答 3、5
1 誤
塩化ビニルモノマーは、シトクロムP450によりエポキシ化を受け、生じたエポキシドが肝血管肉腫を引き起こす。なお、膀胱がんを引き起こす化学物質としては、ベンジジンやβ-ナフチルアミン、o-トルイジンなどである。
2 誤
フェニトロチオンなどの有機リン系殺虫剤は、コリンエステラーゼを阻害するため、縮瞳、発汗、筋肉の痙れんなどの副交感神経の過剰興奮を引き起こす。なお、近位尿細管細胞に蓄積して腎障害を引き起こす物質はカドミウムなどである。
3 正
アスベストは、保温、耐酸性、耐アルカリ性、電気絶縁性に優れているため、かつては建物の壁や天井などに使用されていた。しかし、アスベストを吸入すると10年以上の潜伏期間を経て、肺がんや悪性中皮腫、アスベスト肺を引き起こすため、現在は使用禁止となっている。
4 誤
ベンジジンは、膀胱がんを引き起こす。なお、造血機能障害を引き起こす物質はベンゼンなどである。
5 正
シアン化水素は、ミトコンドリアに存在する電子伝達系のシトクロムオキシダーゼを阻害することで細胞呼吸を停止させる。
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