薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 理論問題 - 問 156,157
問156〜157
40歳女性。3年前に多発性関節炎を認め外来受診したところ、関節リウマチと診断された。メトトレキサートとプレドニゾロンによる治療が開始され、徐々に増量することにより症状の改善を認めていたが、最近、関節痛が再燃した。
問156(薬理)
関節リウマチ治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 サラゾスルファピリジンは、T細胞における炎症性サイトカインの産生を抑制する。
2 ペニシラミンは、分子内に2個のSH基を有し、リウマトイド因子のジスルフィド結合の解離を抑制する。
3 エタネルセプトは、ヤヌスキナーゼを阻害して、サイトカイン受容体を介した細胞内情報伝達を阻害する。
4 インフリキシマブは、キメラ型抗ヒトTNF−αモノクローナル抗体で、TNF−αの受容体への結合を阻害する。
5 トシリズマブは、ヒト型可溶性TNFⅡ型受容体−Fc融合タンパク質で、TNFの作用を抑制する。
問157(病態・薬物治療)
再燃時に、値が上昇していると考えられる検査項目はどれか。2つ選べ。
1 CEA
2 CPK
3 KL−6
4 MMP3
5 白血球数
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問156 解答 1、4
1 正
サラゾスルファピリジンは、T細胞及びマクロファージからのサイトカイン産生を抑制することで抗リウマチ作用を示す。また、腸内細菌により5−アミノサリチル酸とスルファピリジンに分解され抗炎症作用を示すため、潰瘍性大腸炎にも用いられる。
2 誤
ペニシラミンは、分子内に1個のSH基を有し、リウマトイド因子や免疫複合体のジスルフィド結合を解離させることで抗リウマチ作用を示す。なお、同様の作用機序を有するブシラミンは、分子内に2個のSH基を有する。
3 誤
エタネルセプトは、ヒト型可溶性TNFⅡ型受容体−Fc融合タンパク質であり、過剰に産生された腫瘍壊死因子-α(TNF-α)及びLTαをおとりレセプターとして捕捉し、細胞表面の受容体への結合を阻害することで抗リウマチ作用を示す。なお、ヤヌスキナーゼを阻害して、サイトカイン受容体を介した細胞内情報伝達を阻害するのは、トファシチニブである。
4 正
インフリキシマブは、キメラ型抗ヒトTNF−αモノクローナル抗体であり、TNF−αと特異的に結合し、TNF-αの受容体への結合を阻害することで抗リウマチ作用を示す。
5 誤
トシリズマブは、ヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体であり、IL-6受容体に結合し、IL-6の活性の発現を抑制することで抗リウマチ作用を示す。なお、ヒト型可溶性TNFⅡ型受容体−Fc融合タンパク質で、TNFの作用を抑制するのは、エタネルセプトである。
問157 解答 4、5
関節リウマチは、多発関節炎と進行性関節破壊をきたす炎症性自己免疫疾患であり、炎症初見としてCRP上昇、赤沈亢進、白血球数増加、MMP3(マトリックスメタロプロテアーゼ3)上昇などがみられる。
そのため、関節リウマチ再燃時に値が上昇していると考えられる検査項目は、MMP3および白血球数である。
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