薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 理論問題 - 問 159
心不全治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 メチルジゴキシンは、Na+, K+−ATPaseを阻害して、心筋細胞内Ca2+濃度を上昇させて陽性変力作用を示す。
2 リシノプリルは、アンジオテンシンⅡの分解を阻害して、心筋のリモデリングを抑制する。
3 コルホルシンダロパートは、サイクリックAMP(cAMP)誘導体で、細胞内でcAMPに変換されて心筋収縮力を増強する。
4 ピモベンダンは、トロポニンCのCa2+感受性を増大させるとともに、ホスホジエステラーゼⅢを阻害して、強心作用を示す。
5 カルペリチドは、グアニル酸シクラーゼ内蔵型受容体を遮断して、心臓の前負荷及び後負荷を軽減させる。
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解答 1、4
1 正
メチルジゴキシンは、ジギタリス製剤であり、心筋細胞膜のNa+,K+-ATPaseを直接阻害し、細胞内のNa+の濃度を上昇させる。その結果、間接的にNa+-Ca2+交換体が抑制され、Ca2+の細胞外流出が抑制されることで、心筋細胞内Ca2+濃度が上昇し、陽性変力作用(心収縮力増大作用)を示す。
2 誤
リシノプリルは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であり、アンギオテンシン(Ang)ⅠからAngⅡへの変換を阻害することで、心筋のリモデリングを抑制する。なお、リシノプリルは、ACEと同一酵素であるキニナーゼⅡを阻害し、ブラジキニンの分解を阻害する作用も有する。
3 誤
コルホルシンダロパートは、アデニル酸シクラーゼを直接活性化することにより、細胞内サイクリックAMP(cAMP)濃度を上昇させることで心筋収縮力を増強する。なお、cAMP誘導体で、細胞内でcAMPに変換されて心筋収縮力を増強するのは、ブクラデシンである。
4 正
ピモベンダンは、心筋収縮タンパク質であるトロポニンCのCa2+感受性を増大させるとともに、選択的にホスホジエステラーゼⅢを阻害して、強心作用を示す。
5 誤
カルペリチドは、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)であり、グアニル酸シクラーゼ内蔵型受容体であるANP受容体を刺激することで受容体内のグアニル酸シクラーゼを活性化する。その結果、細胞内サイクリックGMP(cGMP)濃度を上昇させることで血管拡張作用及び利尿作用を示すため、心臓の前負荷及び後負荷を軽減させる。
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