薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 理論問題 - 問 187
慢性腎臓病の病態と治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 腎機能障害又は腎機能低下が3ヶ月以上持続する状態である。
2 合併症として貧血がある。
3 低張尿となる。
4 尿毒症の症状改善にラクツロースを内服する。
5 尿毒症状の発症を抑制するために、タンパク質を積極的に摂取させる。
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解答 1、2
1 正
慢性腎臓病(CKD)とは、タンパク尿やその他腎障害を示唆する所見や、糸球体濾過量(GFR)の低下(推算GFRが60 mL/分/1.73 m2未満)が3ヶ月以上持続する状態である。
2 正
腎臓では、赤血球の産生に関与するエリスロポエチンが産生される。CKD患者では、エリスロポエチン産生が低下するため貧血(腎性貧血)を合併することがある。
3 誤
通常、ヒトの尿は高張尿であるが、CKDでは尿細管における尿濃縮能が障害されているため、等張尿となる。なお、低張尿が認められるのは尿崩症などである。
4 誤
ラクツロースは、腸内細菌により分解され乳酸を産生し、腸内pHを低下させることでアンモニアの吸収を抑制する。そのため、高アンモニア血症による肝性脳症の改善に用いられる。なお、尿毒症の症状改善に用いられるのは球形吸着炭である。
5 誤
CKD患者への高タンパク食の摂取は、腎臓への負荷増大につながるため推奨されない。そのため、CKD患者への食事療法は、低タンパク食が基本である。
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