薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 実践問題 - 問 240,241
問240〜241
35歳男性。身長170 cm、体重81 kg。最近、体重が増加して運動不足を痛感していた。今回、会社の健康診断の後に、生活習慣病の予防のために運動に加えて特定保健用食品を利用しようと思い、健康サポート薬局の薬剤師に相談した。
この男性が持参した検査値は以下のとおりである。
(検査値)
収縮期血圧135 mmHg、拡張期血圧85 mmHg、HDL−C 60 mg/dL、
LDL−C 120 mg/dL、TG110 mg/dL、HbA1c 5.0%(NGSP値)
問240(実務)
検査結果から、この男性に適すると考えられる特定保健用食品の関与成分はどれか。1つ選べ。
1 茶カテキン
2 グルコシルセラミド
3 大豆イソフラボン
4 キシリトール
5 CPP(カゼインホスホペプチド)
問241(衛生)
この男性からの相談に対応するために、薬局内で保健機能食品等に関する勉強会を行うことになった。次の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 栄養機能食品には、疾病リスクの低減、疾病の予防に関する表示が認められている。
2 特定保健用食品は、保健機能食品であり、特別用途食品でもある。
3 機能性表示食品は、喫食習慣や既存情報により安全性が説明できれば、安全性試験を実施しなくてもよい。
4 難消化性デキストリンを含む食品が特定保健用食品として審査される場合は、個別に安全性や有効性の審査を受けることなく、規格基準への適合性が審査される。
5 いわゆる「健康食品」は一般食品であり、保健機能に関する法令上の明確な定義がない。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
問240 解答 1
検査の結果、本患者のBMI(体重(kg)÷(身長(m))2)は、約28となり肥満である。そのため、この男性に適する特定保健用食品は、「体脂肪を減らす働きがある」関与成分の茶カテキン(選択肢1)が適切だと考えられる。
1 正
前記参照
2 誤
グルコシルセラミドは、肌の水分を逃しにくくする働きをもつ特定保健用食品の関与成分であるため、肌の乾燥が気になる方に適している。
3 誤
大豆イソフラボンは、骨強度を高める働きをもつ特定保健用食品の関与成分であるため、骨の健康が気になる方に適している。
4 誤
キシリトールは、歯の石灰化を増強する働きをもつ特定保健用食品の関与成分であるため、歯を丈夫で健康に保ちたい方に適している。
5 誤
CPP(カゼインホスホペプチド)は、カルシウムを吸収しやすくする働きをもつ特定保健用食品の関与成分であるため、ミネラルの吸収を高めたい方に適している。
問241 解答 1
1 誤っている
栄養機能食品は、疾病リスクの低減、疾病の予防に関する表示は認められていない。なお、特定保健用食品は、疾病リスク低減表示が認めらており、関与成分に葉酸とカルシウムがある。
2 正しい
保健機能食品は特定保健用食品、栄養機能食品及び機能性表示食品に分類されている。一方、特別用途食品は特定保健用食品、病者用食品、妊産婦・授乳婦用粉乳、乳児用調整乳及びえん下困難者用食品に分類される。したがって、特定保健用食品は、保健機能食品であり、特別用途食品でもある。
3 正しい
機能性表示食品は事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨の表示を行うものとして、消費者庁長官に届け出られたものである。機能性表示食品の安全性は、食経験や既存情報によって評価を行い、その安全性が不十分と判断された場合は安全性試験を実施する。したがって、喫食習慣や既存情報により安全性が説明できれば、安全性試験を実施しなくてもよい。
4 正しい
特定保健用食品には、個別許可型の特定保健用食品や規格基準型の特定保健用食品や条件付きの特定保健用食品などがある。規格基準型の特定保健用食品は、許可実績が十分にあるなどの科学的根拠が蓄積されている関与成分についての規格基準を定めることにより、消費者庁長官の個別審査を必要とせず、消費者庁における規格基準の適合性を審査し許可するものである。
5 正しい
健康食品と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指すものである。そのうち、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たしたものに保健機能食品がある。
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿