薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 実践問題 - 問 248,249
問248〜249
62歳女性。身長152 cm、体重41 kg。片頭痛と抑うつに対して次の処方が出されていた。
問248(実務)
患者の訴えとして「就寝中に脚の表面ではなく深部に虫が這うような不快感を自覚するが、この不快な感覚は幾分軽快し、日中は自覚することは無い。また時に痛みも自覚する。」があった。この症状への対策として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 ミルタザピン錠の増量
2 オランザピン錠の追加
3 ガバペンチンエナカルビル錠の追加
4 ビペリデン錠の追加
5 プラミペキソール錠の追加
問249(薬理)
前問の選択肢1〜5に挙げた薬物の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ミルタザピンは、アドレナリンα2受容体を遮断する。
2 オランザピンは、ドパミンD2受容体を選択的に遮断する。
3 ガバペンチンは、神経終末のCa2+流入を促進する。
4 ビペリデンは、ムスカリン性アセチルコリン受容体を遮断する。
5 プラミペキソールは、セロトニンの再取り込みを選択的に阻害する。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
問248 解答 3、5
本患者は抗うつ薬であるミルタザピンを服用しており、「就寝中に脚の深部に虫が這うような不快感を自覚し、時に痛みも自覚する。」との訴えがあることから、レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)に罹患していることが考えられる。
レストレスレッグス症候群の発生機序は明らかになっていないが、抗うつ薬、抗精神病薬、ドパミン受容体遮断薬の使用が原因と考えられており、症状としては、夕方から深夜にかけて下肢を中心に「ムズムズする」「痛がゆい」といった異常な感覚が出現する。治療薬としては、ガバペンチンエナカルビルやドパミン作動薬であるプラミペキソールなどが用いられる。
問249 解答 1、4
1 正
ミルタザピンは、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)であり、中枢内のアドレナリン作動性神経のα2受容体及びセロトニン作動性神経のヘテロ受容体を遮断することで、ノルアドレナリン及びセロトニンの遊離を促進させるため、うつ病に用いられる。
2 誤
オランザピンは、多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)であり、中枢内のドパミンD2受容体やセロトニン5−HT2受容体だけでなく多数の受容体を遮断するため、統合失調症などに用いられる。
3 誤
ガバペンチンは、電位依存性Ca2+チャネルのα2δサブユニットに結合することで、Ca2+流入を抑制するため、てんかんに用いられる。なお、ガバペンチンエナカルビルは、ガバペンチンの吸収性を高めたプロドラッグであり、中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群に用いられる。
4 正
ビペリデンは、中枢性抗コリン薬であり、中枢内のムスカリン性アセチルコリン受容体を遮断するため、抗精神病薬投与によるパーキンソニズムなどに用いられる。
5 誤
プラミペキソールは、非麦角アルカロイド誘導体であり、ドパミン受容体を刺激するため、パーキンソン病や中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群に用いられる。
-
解説動画1 ( 04:20 )
-
※ この解説動画は 60 秒まで再生可能です
再生速度
|
|
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿