薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 実践問題 - 問 294,295

48歳男性。近視でハードコンタクトレンズを使用している。45歳時より眼科でドライアイと診断され、ジクアホソルナトリウム点眼液を処方され、点眼している。ここ数年2〜4月頃に発作性反復性のくしゃみ、水性鼻漏と鼻閉の症状が出ていたが、この時期を過ぎると楽になるので経過をみていた。本年2月にこれら症状が悪化し、眼もかゆくなったため、病院を受診し、ビラスチン錠とエピナスチン塩酸塩点眼液が処方され、処方箋をもって来局した。

問294（病態・薬物治療）
この患者の病態として、考えられるのはどれか。２つ選べ。

１　鼻粘膜でⅡ型アレルギー反応が起こっている。
２　ハウスダストやダニが原因である。
３　鼻内所見で鼻粘膜に発赤がみられる。
４　気管支ぜん息を合併しやすい。
５　抗原飛散数の増加により症状が増悪する。


問295（実務）
この患者への服薬指導として、適切なのはどれか。２つ選べ。

１　これらの薬剤を使用する際には自動車等の運転をしないで下さい。
２　ビラスチン錠は1日1回空腹時に服薬して下さい。
３　処方された点眼液を使用するときは、コンタクトレンズを外す必要がありません。
４　処方された点眼液を点眼する際は、点眼間隔をあける必要はありません。
５　症状がひどいときには、エピナスチン塩酸塩点眼液を一度に2滴以上続けて点眼して下さい。

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問294　解答　３、５

「ここ数年2〜4月頃に発作性反復性のくしゃみ、水性鼻漏と鼻閉の症状が出ていた」という点から、本患者は季節性アレルギー性鼻炎（花粉症）を発症していると推測される。また、「本年2月にこれら症状が悪化し、眼もかゆくなった」という点とエピナスチン塩酸塩点眼液が処方されていることから、アレルギー性結膜炎も合併したと推測される。

１　誤
季節性アレルギー性鼻炎は、Ⅰ型アレルギー反応により発症する。

２　誤
ハウスダストやダニは、通年性アレルギー（ex気管支ぜん息など）の原因となる。季節性アレルギー性鼻炎の原因としては、スギ花粉が最多である。

３　正
季節性アレルギー性鼻炎の鼻内所見として、鼻粘膜の発赤・充血を認めることが多い。なお、通年性アレルギー性鼻炎では、鼻粘膜の蒼白化を認めることが多い。

４　誤
本患者のように季節性アレルギー性鼻炎ではアレルギー性結膜炎を合併することが多く、気管支喘息の合併は少ない。それに対して、通年性アレルギー性鼻炎では、気管支喘息の合併が多くみられる。

５　正
季節性アレルギー性鼻炎では、花粉などのアレルゲンの飛散数が増加すると症状が悪化する。


問295　解答　２、３

１　誤
ジクアホソルナトリウム点眼液やビラスチン錠、エピナスチン塩酸塩点眼液の使用上の注意において、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させない旨の注意書きはない。

２　正
ビラスチン錠の用法用量として、１回20 mgを1日1回空腹時に経口投与することとされている。これは、ビラスチン錠が食事（高脂肪食）の影響を受けるためと考えられている。

３　正
本患者に処方されているジクアホソルナトリウム点眼液やエピナスチン塩酸塩点眼液には、防腐剤であるベンザルコニウム塩化物が含まれていないため、コンタクトレンズの上から点眼することが可能である。
なお、ベンザルコニウム塩化物含有の点眼剤をコンタクトレンズの上から点眼すると、ベンザルコニウムがコンタクトレンズに吸着し、角膜との接触時間が長くなることで角膜障害を引き起こすおそれがあるため、コンタクトレンズを外して点眼するよう指導する必要がある。

４　誤
2剤以上の点眼剤を併用する際は、少なくとも5分以上の間隔をあけて点眼するよう指導する必要がある。

５　誤
症状の悪化に関わらず、エピナスチン点眼液は、1回1滴、1日4回点眼で用いられる。なお、点眼薬は一度に2滴以上点眼しても眼から溢れ出てしまうため。通常1回1滴で使用する。

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