薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 実践問題 - 問 314,315
病院に勤務する薬剤師が参画して、医薬品医療機器等法に基づく承認申請を目的とはしないが、製薬企業から資金提供を受けて、向精神薬の有効性・安全性を確認する介入試験を実施することになった。製薬企業から経済的支援を受けていた場合、科学的に問題のある研究を行うのではないか、という「疑い」が生じる可能性がある。 問314(法規・制度・倫理) この介入試験において、研究者である薬剤師が遵守すべき関連法令や指針に関する記述のうち、適切なのはどれか。1つ選べ。1 製造販売後調査に該当するので、GPSP省令に基づき実施する。 2 一般の医療に該当するので、遵守すべき関連法令や指針はない。 3 特定臨床研究に該当するので、臨床研究法に基づき実施する。 4 治験に該当するので、GCP省令に基づき実施する。 5 人を対象とする医学系研究に該当するので、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に基づき実施する。 問315(実務) この研究に参画した薬剤師が、研究の信頼性を確保するため行う対応として、適切なのはどれか。1つ選べ。1 利益相反(Conflict of Interest)を開示する。 2 知的財産権(特許権など)を取得する。 3 複数の企業より公平に資金提供を受ける。 4 産学連携研究は可能な限り実施しない。 5 研究成果の公表は行わない。
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問314 解答 3 ヒトを対象とする医学研究のことを臨床研究といい、臨床研究における規制区分と遵守すべき関連法令について、下記の表にまとめる。 特定臨床研究とは臨床試験のうち、次のいずれかに該当するものをいう。 ・未承認・適応外の医薬品等の臨床研究 ・医薬品製造販売業者等から研究資金等の提供を受けて実施する臨床研究等 設問の薬剤師が参画する臨床研究は、承認申請を目的とせず、製薬企業から資金を受けて実施するため、特定臨床研究に該当し、臨床研究法に基づいて実施する。臨床研究法では以下のことを義務付けている。 ・研究を実施する医療機関と契約を締結すること ・資金提供に関する情報を公開すること等 また、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針は、あくまで指針であり法的規制はなく、設問の薬剤師が参画する臨床研究を行う際に遵守すべきものとして適切ではない。 問315 解答 1 利益相反(Conflict of Interest:COI)とは、一般的にある行為が、一方の利益になると同時に、他方の不利益になるような行為をいう。 法律的には、さまざまな利益相反行為が禁止ないし制限されているが、医療との関係では、臨床研究における利益相反行為が重要である。臨床研究はヒトを対象とするため、被験者の生命、安全、人権を守るという観点から実施されなければならないと同時に、医師側は、臨床研究の実施において、資金提供者等との金銭的なかかわりを持つ場面が多いからである。
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