薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 実践問題 - 問 316,317
新入薬剤師の導入研修で、以下の処方を題材として提示した。患者は、2歳女児。体重12 kg。各成分の添付文書等による1回の適正使用量(成分量)は【表1】のとおりとする。
問316(実務)
用量が適切でないため疑義照会すべき薬剤はどれか。2つ選べ。
1 テオフィリンドライシロップ20%
2 クラリスロマイシンドライシロップ10%
3 耐性乳酸菌製剤散100%
4 カルボシステインドライシロップ50%
5 クレマスチンドライシロップ0.1%
問317(法規・制度・倫理)
この処方どおりに薬剤を提供した後に疑義に気が付き、医師に照会した結果、用量が適切ではないことが判明した場合、薬剤師がとるべき対応として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 患児の家族に連絡して、次回の診察までは薬をこのまま服用させるよう指導する。
2 他にも同様の事例がないか薬局内で確認する。
3 事例に関して、事実を経時的に整理して記録する。
4 再発防止のため、指針の見直しや従事者が行う対策を検討する。
5 公益財団法人日本医療機能評価機構に、ヒヤリ・ハット事例として報告を行う。
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問316 解答 1、5
1 正
本患者(体重12 kg)におけるテオフィリンの1回の適正使用量(成分量)は、4 mg/kg×12 kg=48 mgである。本処方は、テオフィリンドライシロップ20%が1回0.90 g(900 mg)であるため、1回あたりの成分量は、900 mg×(20/100)=180 mgである。これは過剰投与となるため、テオフィリンドライシロップ20%の用量について疑義照会すべきである。
2 誤
本患者(体重12 kg)におけるクラリスロマイシンの1回の適正使用量(成分量)は、5 mg/kg×12 kg=60 mgである。本処方は、クラリスロマイシンドライシロップ10%が1回0.60 g(600 mg)であるため、1回あたりの成分量は、600 mg×(10/100)=60 mgである。これは適正使用量と大きな差異がないため、クラリスロマイシンドライシロップ10%の用量について疑義照会の必要はない。
3 誤
本患者(体重12 kg)における耐性乳酸菌の1回の適正使用量(成分量)は、23 mg/kg×12 kg=276 mgである。本処方は、耐性乳酸菌製剤散100%が1回0.28 g(280 mg)であるため、1回あたりの成分量は、280 mg×(100/100)=280 mgである。これは適正使用量と大きな差異がないため、耐性乳酸菌製剤散100%の用量について疑義照会の必要はない。
4 誤
本患者(体重12 kg)におけるカルボシステインの1回の適正使用量(成分量)は、10 mg/kg×12 kg=120 mgである。本処方は、カルボシステインドライシロップ50%が1回0.24 g(240 mg)であるため、1回あたりの成分量は、240 mg×(50/100)=120 mgである。これは適正使用量と大きな差異がないため、カルボシステインドライシロップ50%の用量について疑義照会の必要はない。
5 正
本患者(体重12 kg)におけるクレマスチンの1回の適正使用量(成分量)は、16 µg/kg×12 kg=192 µgである。本処方は、クレマスチンドライシロップ0.1%が1回0.90 g(900 mg)であるため、1回あたりの成分量は、900 mg×(0.1/100)=0.9 mg(900 µg)である。これは過剰投与となるため、クレマスチンドライシロップ0.1%の用量について疑義照会すべきである。
問317 解答 1
不適切な用量の医薬品を服用すると健康被害が生じる可能性があるため、このまま服用させてはならない。このような事例が発生した場合、気付いた時点で該当患者に連絡し、患者への健康被害を最小限にできるよう対応をする。
また、同様の事例がないか確認したり、再発防止のための対策を立てたりすることも重要である。
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