薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 実践問題 - 問 331
フルオロウラシル(5−FU)のバイアル製剤(1,000 mg、20 mL)から、5−FUを600 mg採取する際、薬液採取の手技として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 50 mLのルアーロックタイプのシリンジを準備する。
2 バイアルに注射針を刺す前に、予めシリンジ内に10 mL程度のエアを入れておく。
3 バイアルに注射針を刺し、シリンジに入れておいたエアを注入する。
4 5−FUの必要量は、図Aのようにシリンジ内の目盛りで計量する。
5 バイアルからシリンジを抜く場合には、図Bのようにバイアル内のエアを吸引してから抜き取る。
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解答 2、5
1 誤
シリンジには、ルアーチップタイプとルアーロックタイプのものが存在するが、5−FUのような抗悪性腫瘍薬の調製を行う場合は、安全性の高いルアーロックタイプのシリンジを選択する。
また、シリンジのサイズは、採取薬液量より少し大きいもので、採取薬液量の3倍より小さいものを選択する。今回の5−FUの採取薬液量をX mLとすると、
1000 mg:20 mL=600 mg:X mL
X=12 mL
となるため、使用するシリンジのサイズは12 mLより大きく、36 mLより小さいものを選択する必要があるため、50 mLのシリンジは不適切である。
なお、シリンジのサイズが小さすぎるとプランジャーを引き抜いてしまうことによる抗悪性腫瘍薬への曝露のリスクが高くなり、逆にシリンジのサイズが大きすぎると採取薬液量の誤差が大きくなるため、適切なサイズのシリンジを選択することは重要である。
2 正
薬液採取を行いやすくするために、予めシリンジ内に採取薬液量よりも若干少なめのエアをシリンジ内に入れておく必要がある。今回の5−FUの採取薬液量は12 mL(解説1参照)であるため、予め10 mL程度のエアを入れておくことは適切である。
3 誤
バイアルにシリンジ内のエアを注入すると、バイアル内が陽圧となり、シリンジを抜く際に5−FUが漏出するため危険である。バイアル内部を陰圧に保ったまま薬液を採取するには、少量の薬液を採取し、採取した分のエアを圧力差に任せて(力を加えず)バイアルに戻す操作を繰り返すとよい。
4 誤
採取薬液量を確認する場合、誤差の原因となるシリンジ内のエアを取り除いてから計量する必要がある。
5 正
バイアルからシリンジを抜く際にエアを吸引することで、バイアル内が陰圧となるため、5−FUへの曝露リスクを小さくすることができる。
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解説動画1 ( 07:56 )
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