薬剤師国家試験 令和04年度 第107回 - 一般 理論問題 - 問 102
1,2−ジメチルシクロヘキサンの構造Aに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 Aはシス体である。
2 Aのエナンチオマーはアである。
3 Aのいす形配座が環反転した配座異性体はイである。
4 Aのメチル基は、両方ともエクアトリアル位に結合している。
5 Aはメチル基同士に働く1,3−ジアキシアル相互作用により不安定化されている。
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解答 3、4
1 誤
化合物Aはトランス体の1,2−ジメチルシクロヘキサンである。
2 誤
化合物Aと化合物アは同一物質であるため、エナンチオマーの関係にはない。
3 正
環反転(単結合の回転による環状構造の相互変換)すると、その前後で立体配置(シス・トランスの関係、キラル炭素のRS表示など)に変化はないが、立体配座(エクアトリアル、アキシアル)は入れ替わる。
化合物Aとイの1,2−ジメチルシクロヘキサンは、ともに(1S,2S)体かつトランス体であるため、立体配置は同じであり、エクアトリアル・アキシアルが全て逆である。したがって、Aのいす形配座が環反転した配座異性体はイである。
4 正
5 誤
1,3−ジアキシアル相互作用とは、立体障害の大きな置換基がアキシアルに存在すると同じくアキシアルに存在する原子と立体反発を起こし、不安定化されるものである。そのため、1,2−ジメチルシクロヘキサンのメチル基(立体障害の大きな置換基)がアキシアルにあると不安定になる(下図参照)。
化合物Aは、メチル基が共にエクアトリアル位に存在するため、1,3−ジアキシアル相互作用は起こらず比較的安定である。なお、化合物イのようにメチル基がアキシアル位に存在すると1,3−ジアキシアル相互作用により不安定化される。
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