薬剤師国家試験 令和04年度 第107回 - 一般 理論問題 - 問 116
図は、単量体で作用する酵素のヒト遺伝子構造を示したものである。5つのエキソンを順に数字で表し、矢印A、Bは、頻度が高い2種類の遺伝子多型A、Bのそれぞれの位置を示す。多型Aはプロモーター領域に、多型Bは翻訳領域に存在する。この遺伝子は常染色体上に存在し、多型Aのヘテロ接合体では、野生型ホモ接合体と比べて、この酵素の活性がほぼ半分になる。多型Bのヘテロ接合体では、酵素活性が野生型ホモ接合体の約3/4になる。
この多型に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 多型Aは、この酵素のmRNA量に影響する。
2 多型Bは、サイレント変異である。
3 多型Aヘテロ接合体と多型Bヘテロ接合体の夫婦からは、多型Aと多型Bを両方もつ子が生まれる可能性がある。
4 多型Bの遺伝子産物のアミノ酸配列は、野生型と同一である。
5 多型Bは、逆転写酵素を用い、第2エクソン内の配列に対するRT−PCRで判定できる。
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解答 1、3
上図のAは、プロモーター領域における遺伝子多形を表している。多型Aのヘテロ接合型では、野生型ホモ接合型と比べて酵素活性が半分になる。これはプロモーター領域の塩基配列の変化により、基本転写因子のプロモーターとの結合等に影響があり、mRNAの合成量が低下するためと考えられる。
上図のBは、第1エキソン翻訳領域に存在する遺伝子多形を表している。多型Bのヘテロ接合型では、野生型ホモ接合型と比べて酵素活性が3/4になる。これは第1エキソンの塩基配列が変化により、生成する酵素のアミノ酸配列が変化する結果、酵素活性が低下していると考えられる。
1 正
前記参照
2 誤
サイレント変異とは塩基配列が変化しているのにも関わらず、アミノ酸配列が変化していない現象であり、その際の酵素活性は変わらない。
多型Bは、塩基配列の変化により酵素活性が3/4となることからサイレント変異ではないと考えられる。
3 正
多型Aヘテロ接合体と多型Bヘテロ接合体の夫婦からは、「多型Aヘテロ接合体をもつ子」「多型Bヘテロ接合体をもつ子」「多型Aと多型Bを両方もつ子」「多型A及び多型Bヘテロ接合体をともにもたない子」の4種類生まれる可能性がある。
4 誤
前記参照
5 誤
多型Bは第1エキソンの塩基配列が変化したものであるため、逆転写酵素を用いた第2エキソン内配列のみのRT−PCRによる判定は考えにくい。
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