薬剤師国家試験 令和04年度 第107回 - 一般 実践問題 - 問 246,247
23歳女性。半年前に幻覚と妄想が出現し統合失調症と診断され、リスペリドン6 mgによる治療を受けていた。精神症状は改善したが、手のふるえや筋肉が突っ張るような錐体外路症状が出現した。また、これまで規則正しかった月経が止まったとの訴えがあり、検査により高プロラクチン血症と診断された。患者から別の薬剤への変更を希望され、以下の処方へ変更することになった。
問246(薬理)
この患者でリスペリドン服用中に認められた副作用発生の主な機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 線条体におけるドパミンD2受容体遮断
2 線条体におけるセロトニン5-HT2A受容体遮断
3 中脳辺縁系におけるドパミンD2受容体遮断
4 中脳辺縁系におけるセロトニン5-HT2A受容体遮断
5 脳下垂体前葉におけるドパミンD2受容体遮断
問247(実務)
変更後の処方薬に関する記述として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 第1世代(定型)の統合失調症治療薬と比べ錐体外路症状が発現しにくい。
2 変更後2ヶ月間は、好中球数のモニタリングが毎週必要である。
3 分布容積が大きいため、過量投与に対する処置として血液透析が有効である。
4 投与中は血糖値の定期的なモニタリングが必要である。
5 薬物治療は今後1ヶ月で終了することが見込まれる。
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問246 解答 1、5
リスペリドンは、第2世代(非定型)の統合失調症治療薬(セロトニン・ドパミン受容体遮断薬)であり、中脳辺縁系におけるドパミンD2受容体遮断作用、中脳皮質系におけるセロトニン5-HT2A受容体遮断作用により統合失調症の陽性症状及び陰性症状を改善する。リスペリドンの副作用は、線条体におけるドパミンD2受容体遮断作用による手のふるえや筋肉が突っ張るような錐体外路症状や、脳下垂体前葉におけるドパミンD2受容体遮断作用による高プロラクチン血症などがある。
問247 解答 1、4
アリピプラゾールは第2世代(非定型)の統合失調症治療薬であり、ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT1A受容体の部分刺激作用、セロトニン5-HT2A受容体遮断作用により陽性症状及び陰性症状を改善する。
1 正
アリピプラゾールなどの第2世代(非定型)の統合失調症治療薬は、クロルプロマジンなどの第1世代(定型)の統合失調症治療薬と比べ錐体外路症状が発現しにくい。
2 誤
アリピプラゾール使用時に好中球数のモニタリングは不要である。なお、クロザピンは無顆粒球症などが生じるおそれがあるため、好中球数のモニタリングが必要であり、投与開始から最初の26週間は血液検査を週1回行うこととされている。
3 誤
アリピプラゾールは、分布容積が大きく血漿中薬物量が少ないため、過量投与に対する処置として血液透析は有用ではないと考えられている。
4 正
アリピプラゾールの重大な副作用として、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡が発現するおそれがあるので、血糖値の定期的なモニタリングが必要である。
5 誤
統合失調症の治療を短期で中止すると再発する可能性が高いため、長期にわたり薬物治療でコントロールすることが望ましいと考えられている。
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