薬剤師国家試験 令和04年度 第107回 - 一般 実践問題 - 問 248,249
68歳男性。体重62 kg。最近動悸が激しく息切れすることもあったが放置していた。突然、左側の手足のしびれや麻痺が発現し、言葉も出てこなくなったため、家族が救急車を要請し緊急入院となり、心房細動及び心原性脳梗塞と診断された。心不全の症状はなく、その後の治療により病状が落ち着いたため退院することになった。入院中の処方1に加え、退院時に処方2が新たに追加されることになった。また、現在の検査値は以下のとおりである。
(検査値)
血圧140/88 mmHg、心拍数110拍/分、BUN 28 mg/dL、血清クレアチニン値1.4 mg/dL、クレアチニンクリアランス42 mL/min、LDL 165 mg/dL、HDL 50 mg/dL、TG(トリグリセリド)140 mg/dL
問248(薬理)
処方1及び2のいずれかの薬物の作用機序として、適切なのはどれか。1つ選べ。
1 アデノシンP2Y12受容体を遮断して、血小板凝集を抑制する。
2 ビタミンKの代謝サイクルを阻害して、血液凝固を阻害する。
3 第Xa因子を阻害して、トロンビン産生を抑制する。
4 トロンボキサンA2の合成を阻害して、血小板の活性化を阻害する。
5 プラスミノーゲンをプラスミンに変換して、血栓中のフィブリンを分解する。
問249(実務)
処方1と2を監査した病棟薬剤師が処方医に提案する内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 カルベジロールを減量する。
2 エドキサバンを減量する。
3 アスピリンを追加する。
4 アトルバスタチンを追加する。
5 クロピドグレルを追加する。
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問248 解答 3
1 誤
チクロピジンやクロピドグレルなどの作用機序である。チクロピジンやクロピドグレルは、肝臓で活性代謝物に変換され、P2Y12受容体を非可逆的に遮断することで、血小板凝集を抑制する。
2 誤
ワルファリンの作用機序である。ワルファリンは、肝臓でビタミンKの代謝サイクルを阻害し、血液凝固因子であるプロトロンビン(Ⅱ)、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子の生合成を阻害することで、血液凝固を阻害する。
3 正
エドキサバンの作用機序である。エドキサバンは、選択的かつ直接的に第Xa因子を阻害し、トロンビン産生を抑制することで、血液凝固を阻害する。
4 誤
オザグレルなどの作用機序である。オザグレルは、トロンボキサン合成酵素阻害により、トロンボキサンA2の合成を阻害し、血小板の活性化を阻害することで、血液凝固を阻害する。
5 誤
アルテプラーゼなどの作用機序である。アルテプラーゼは、フィブリンへの親和性が高く、血栓上でプラスミノーゲンをプラスミンに変換して、血栓中のフィブリンを分解する。
問249 解答 2、4
検査値より、本患者はクレアチニンクリアランス(CLcr)42 mL/minと腎機能が低下していることがわかる。エドキサバンは腎排泄型の薬物であり、30 mL/min≦CLcr≦50 L/minの患者には30 mgを1日1回経口投与することとされているため、エドキサバンを1日60 mgから30 mgに減量する必要がある。また、LDL 165 mg/dLと高値であるため、LDL値を低下させるHMG-CoA還元酵素阻害薬のアトルバスタチンの追加が提案内容として適切であると考えられる。
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