薬剤師国家試験 令和04年度 第107回 - 一般 実践問題 - 問 292,293
43歳男性。基礎疾患はない。海外に単身赴任中。一時帰国した3日後の夕食時に体調がすぐれず、早めに就寝した。翌朝から39℃の発熱と発疹を認め、近医を受診し、風しんと診断された。
家族の風しん罹患歴、予防接種歴は以下のとおりである。
問292(病態・薬物治療)
この患者に関する記述として、考えられるのはどれか。2つ選べ。
1 帰国途中又は帰国後に感染した。
2 DNAウイルスに感染した。
3 リンパ節の膨張が認められる。
4 白血球数が減少している。
5 発熱は2週間以上続く。
問293(実務)
この患者への対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 この患者に、療養中に他の医療機関を受診する際は、不安を与えないために風しん感染の情報を伝えないように勧める。
2 この患者に、妻との濃厚接触を避けて療養するよう伝える。
3 この患者の母は、風しんウイルス抗体を有していると考えられると伝える。
4 この患者の妻は、今すぐ風しんワクチン接種を受ける必要があると伝える。
5 この患者の子は、今すぐ3回目の風しんワクチン接種を受ける必要があると伝える。
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問292 解答 3、4
1 誤
風しんは、風しんウイルスの飛沫感染により感染し、14〜21日の潜伏期を経て発症する。風しんは初期症状として、まず後耳介リンパ節や頸部リンパ節腫脹がみられる。その後、発熱と共に全身性の発疹が生じるが、2〜3日で消退する。
本患者は、帰国した4日後から39℃の発熱と発疹が出現しているため、感染を14〜21日前で逆算すると、帰国前には風しんウイルスに感染していたと考えられる。
2 誤
風しんウイルスは、RNAウイルスである。
3 正
解説1参照
4 正
風しんでは、白血球の減少がみられる。
5 誤
解説1参照
問293 解答 2、3
1 誤
風しんは、風しんウイルスの飛沫感染により感染し、その感染力は強いため、医療機関を受診する際は、事前に風しん感染の情報を伝えておく必要がある。
2 正
妊娠初期(妊娠20週以前)に母体が風しんウイルスに罹患し、経胎盤感染により胎児にも感染すると、先天性風しん症候群を引き起こすことがある。先天性風しん症候群は、死産・流産の原因となる他、胎児に白内障、難聴、心奇形などの先天異常を生じることがある。そのため、本患者には、妊娠中の妻との濃厚接触を避けて療養するよう伝える必要がある。
3 正
本患者の母は、子供の頃に風しんの罹患歴があるため、風しんウイルス抗体を有していると考えられる。
4 誤
風しんワクチンは弱毒生ワクチンであり、妊娠中の妻には禁忌である。
5 誤
予防接種法において、現在風しんワクチンはMR(麻しん風しん混合)ワクチンとして用いられており、生後12ヶ月〜24ヶ月未満の1歳児の時期に1回目接種、5歳以上7歳未満で小学校就学の1年前から就学の前日までに2回目接種の、計2回の接種を行う必要がある。なお、3回目の接種は必要ない。
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解説動画1 ( 10:41 )
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