薬剤師国家試験 令和04年度 第107回 - 一般 実践問題 - 問 310,311
20歳男性。一人暮らし。1ヶ月前に風邪をひいてから、体調が不良となった。現在、治療中の疾患はない。健康サポート薬局の表示を見て来局した。対応した薬剤師は、この男性の自覚症状(口渇、多尿、急激な体重減少、疲労感)などの訴えを聞いて糖尿病の疑いがあると判断して、医療機関への受診勧奨を行った。
問310(法規・制度・倫理)
「健康サポート薬局」を表示するための基準として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 患者の代わりに、医療機関の受診の予約を行う体制を有している。
2 いつでも相談に対応できるように24時間開局している。
3 個人情報に配慮した相談窓口を有している。
4 要指導医薬品や介護用品について、助言できる体制を有している。
5 薬局内に無菌調剤室を設置している。
問311(実務)
この男性は医療機関で1型糖尿病と診断され、血糖コントロールのため入院し、以下の処方で治療を開始することになった。
病棟担当薬剤師がこの患者に指導する内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 本製剤は、開封後に常に冷蔵庫で保存する。
2 使用する前に、本製剤を振らないようにする。
3 腹部の部位を決め、なるべく前回注射した場所に注射する。
4 低血糖症状が起きたら、糖分を摂るようにする。
5 注射後には、必ず食事を摂るようにする。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
問310 解答 3、4
健康サポート薬局とは、薬事関係法令上、「かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能に加え、国民による主体的な健康の保持増進を積極的に支援する(健康サポート)機能を備えた薬局」と規定されており、薬局開設者が「健康サポート薬局」である旨を表示するには厚生労働大臣が定める基準に適合し、都道府県知事へ届け出なければならない。
健康サポート薬局に関する厚生労働大臣が定める基準について以下に示す。
(1)かかりつけ薬局の基本的機能
・服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導
・24時間対応、在宅対応
・かかりつけ医をはじめとした関係機関との連携強化 など
(2)健康サポート機能
・地域における連携体制の構築
・薬剤師の資質確保(一定の研修を修了した薬剤師の常駐など)
・薬局の設備(パーテーションで区切った相談スペース、個人情報に配慮した相談窓口の設置など)
・健康サポート薬局の表示
・要指導医薬品及び一般用医薬品、介護用品などの取り扱い
・開局時間
・健康相談・健康サポートへの取り組み
なお、健康サポート薬局は、24時間患者に対応する体制の整備が必要であるが、24時間開局する必要はない。
問311 解答 4、5
1 誤
本剤は、使用開始前は凍結及び光を避けて冷蔵庫など(2〜8℃)で保管するが、開封後は冷蔵庫に入れず、室温(1〜30℃)でキャップ等により光を避けて保管し、4週間以内に使用する。
2 誤
本剤は懸濁製剤であるため、使用前に十分混和して使用しない場合には血糖コントロール不良や副作用(主に低血糖)発現のおそれがある。そのため、本剤は十分に混和し均一にした後、使用する必要がある。
3 誤
本剤の皮下注射は、上腕、大腿、腹部、臀部等に行うが、投与部位により吸収速度が異なるため、部位を決め、その中で注射箇所を前回の注射箇所から少なくとも2〜3cm離して行う。
4 正
低血糖症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取するなどの適切な処置を行う。
5 正
飢餓状態や注射後に食事摂取が遅れた場合、低血糖を起こすおそれがあるため、食直前に注射を行い、注射後には必ず食事をとる必要がある。
-
解説動画1 ( 06:17 )
-
※ この解説動画は 60 秒まで再生可能です
再生速度
|
|
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿