薬剤師国家試験 令和04年度 第107回 - 一般 実践問題 - 問 316,317
85歳男性。肺がんで入院治療を行っていたが、在宅で緩和ケアを受けることになり退院した。痛みに対して、アセトアミノフェン錠が投与されていたが、先日から痛みが増してきたので、オピオイドが処方されることになった。終末期のため患者家族が服薬について管理している。現在の処方を以下に示す。
問316(実務)
患者家族への服薬指導として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 痛みが強い時は、効果をあげるために処方1の薬剤をかみ砕いて服用してください。
2 便に錠剤の一部が排泄されていたら、鎮痛効果が弱まるので、処方2の薬剤を1回分服用してください。
3 処方2の薬剤を追加服用する場合は、5時間以上あけてください。
4 便秘になる可能性があるので、処方3が処方されています。
5 吐き気がおきる可能性があるので、処方4が処方されています。
問317(法規・制度・倫理)
この患者家族が、在宅で調剤済みのオキシコドンを管理する場合、麻薬及び向精神薬取締法に照らし合わせ、正しい説明はどれか。1つ選べ。
1 「家庭麻薬」として管理する。
2 かぎのかかる堅固な保管庫での保管が必要である。
3 管理者を決めて病院又は薬局に届け出る必要がある。
4 医師の許可があれば海外旅行に携帯できる。
5 不要となった残薬は調剤した薬局に返却できる。
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問316 解答 4、5
処方1のオキシコドン徐放錠はオピオイド系鎮痛薬であり、がん性疼痛に対するコントローラー(ベースドーズ)として用いられる。なお、本剤服用により鎮痛効果が得られている状態で突発性の疼痛が発現した場合は、速放性製剤の追加投与(レスキュードーズ)を行い、鎮痛を図ることとされており、レスキュードーズとして処方2のオキシコドン塩酸塩水和物散が処方されている。また、オキシコドンの副作用として、便秘や嘔気・嘔吐があるため、これらの副作用を軽減する目的で、緩下薬である処方3の酸化マグネシウムと制吐薬である処方4のプロクロルペラジンマレイン酸塩が処方されている。
1 誤
処方1は徐放錠であり、急激な血中濃度の上昇による副作用の発現を防止するため、かみ砕いて服用しないように指導する。
2 誤
処方1は、コンチンシステムで徐放化されるように設計されており、有効成分放出後のマトリックス基剤(抜け殻)が便中に排泄されることがあるが、有効成分は吸収されているので、鎮痛効果に影響はない。従って、便に錠剤の一部が排泄されていても特に問題はないと指導する。なお、処方2は臨時追加投与(レスキュードーズ)として処方されており、痛みを感じたら服用するように指導する。
3 誤
処方2は、レスキュードーズとして処方されており、痛みが増強した時に服用する。
4 正
前記参照
5 正
前記参照
問317 解答 5
麻薬であるオキシコドンは、他の医薬品に比べて在宅での管理に留意が必要であり、残薬が生じた場合や不要になった場合、麻薬診療施設(医療機関)や麻薬小売業者(薬局)に返却することがある。
1 誤
家庭麻薬とは千分中十分(1.0%)以下のコデイン、ジヒドロコデイン又はこれらの塩類を含有する物であり、オキシコドンは家庭麻薬に該当しない。
2 誤
麻薬をかぎのかかる堅固な保管庫で保管しなければならないのは麻薬取扱者であり、患者又はその家族が在宅で保管するときはその必要はない。
3 誤
患者又はその家族が在宅で麻薬を管理する場合、麻薬管理者を決めて病院又は薬局に届け出る必要はない。
4 誤
患者が自己の疾病の治療の目的で麻薬を携帯して輸入又は輸出する場合、厚生労働大臣(権限が委任されている場合は、地方厚生(支)局長)の許可を受けなければならない。
5 正
前記参照
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