薬剤師国家試験 令和04年度 第107回 - 一般 実践問題 - 問 326
67歳女性。身長156 cm、体重52 kg。2型糖尿病、持続性心房細動及び高血圧症で自宅近くの病院に通院し、以下の薬剤を服用している。15日前の定期受診時の血清クレアチニン値は0.92 mg/dL、eGFR 47.0 mL/min/1.73 m2であった。気温30℃以上の中、庭の草刈りを行っていたところ、頭痛とめまいの症状が出てきたため、今回来院した。そこで、脱水症と診断され、入院して酢酸リンゲル液を投与することとなった。
(来院時所見)
意識は清明。体温36.8℃、血圧128/80 mmHg、脈拍数108拍/分、尿量20 mL/h
(検査値)
赤血球数359×104 /µL、Hb 13.4 g/dL、Ht 40%、白血球数3,700 /µL
血小板数17×104 /µL、BUN 53 mg/dL、血清クレアチニン値1.2 mg/dL
eGFR 35.1 mL/min/1.73 m2、Na 145 mEq/L、K 5.6 mEq/L、Cl 105 mEq/L
この患者の持参薬のうち、薬剤師が入院時に服用中止を提案する薬剤として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 メトホルミン塩酸塩錠
2 オルメサルタン口腔内崩壊錠
3 ビソプロロールフマル酸塩錠
4 リバーロキサバン錠
5 ランソプラゾール口腔内崩壊錠
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解答 1、2
脱水症と診断された本患者は体内水分量が減少しており、検査値より腎血流量低下による急性腎前性腎不全を発症していると考えられる。
本患者の持参薬のうち、メトホルミン塩酸塩錠は、重篤な副作用である乳酸アシドーシスを起こす可能性が高くなるため脱水症の患者に投与禁忌であり、服用中止を提案する必要がある。また、オルメサルタン口腔内崩壊錠は、腎血流量低下作用による急性腎前性腎不全のリスク上昇や、副作用の高カリウム血症により心房細動の増悪を引き起こす可能性があるため、服用中止を提案すべきである。
なお、脱水時に注意が必要な代表的な薬剤を以下に挙げる。
・ビグアナイド系薬:乳酸アシドーシス発症のリスク増大
・ARB、ACE阻害薬、NSAIDs:腎血流量低下による急性腎前性腎不全発症のリスク増大
・SGLT2阻害薬、利尿薬:脱水の増悪
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解説動画1 ( 08:41 )
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