薬剤師国家試験 令和04年度 第107回 - 一般 理論問題 - 問 98
日本薬局方塩化カルシウム水和物(CaCl2・2H2O:147.01)の定量法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
本品約0.4 gを精密に量り、水に溶かし、正確に200 mLとする。この液20 mLを正確に量り、水40 mL及び8 mol/L ア 2 mLを加え、更にNN指示薬0.1 gを加えた後、直ちにイ0.02 mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液で滴定する。ただし、滴定の終点は液の赤紫色が青色に変わるときとする。
0.02 mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液1 mL
= ウ mg CaCl2・2H2O
1 ア に入れるべき溶液は、「アンモニア・塩化アンモニウム緩衝液」である。
2 下線部イの溶液は遮光のガラス瓶に保存する。
3 ウ に入れるべき数値は、2.220である。
4 Ca2+とエチレンジアミン四酢酸との反応で生じたキレートの錯生成定数は、Ca2+とNN指示薬との反応で生じたキレートの錯生成定数より大きい。
5 本定量法では、試料溶液中にMg2+が共存していても、塩化カルシウム水和物を定量することができる。
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解答 4、5
1 誤
ア に入れるべき溶液は、「水酸化カリウム試薬」である。NN指示薬を用いる場合、pH12〜13においてCa2+と安定的なキレートを形成するため、水酸化カリウム試薬を加えることで最適pHに調整を行う。
2 誤
0.02 mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液(EDTA・2Na液)は、ポリエチレン瓶に保存する。EDTA・2Na液をガラス瓶で保存した場合、ガラスに含まれる金属であるZn2+や、Al3+が溶液中に溶け出し、EDTA・2Naの力価が低下する。
3 誤
EDTA・2Na中のEDTAは、2価以上の金属と1:1でキレートを形成する。
設問中の、0.02 mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液1 mL に含まれるEDTAは0.02 mmol(0.02 mol/L×1 mL)であり、これにCaCl2・2H2Oの反応量 ウ は、下記のように求めることができる。
0.02 mmol×(CaCl2・2H2Oの分子量)=0.02 mmol×147.01=2.9402 mg≒2.940 mg
従って、 ウ に入れるべき数値は、2.940である。
4 正
キレートの錯生成定数とは、キレート錯体の生成能のしやすさを表している。また、キレート滴定における標準液EDTAは、指示薬に比べてキレート形成能が大きい。従って、Ca2+とEDTAとの反応で生じたキレートの錯生成定数は、Ca2+とNN指示薬との反応で生じたキレートの錯生成定数より大きい。
5 正
本定量法では、試料溶液中に水酸化カリウム試薬を加えてpH12〜13の強塩基性溶液とすることで、Mg2+は水酸化マグネシウムとなり沈殿するためEDTAと反応しなくなる。従って、試料溶液中にMg2+が共存していても、塩化カルシウム水和物を定量することができる。
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