薬剤師国家試験 令和05年度 第108回 - 一般 理論問題 - 問 151
完全アゴニストの濃度-反応曲線(曲線A)に関連する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
ただし、各薬物は同一の受容体にのみ作用し、また、余剰受容体は存在しないものとする。
1 部分アゴニストは、完全アゴニストによる最大反応には影響せず、曲線Aを低濃度側に平行移動させる。
2 競合的アンタゴニストは、受容体に可逆的に結合し、曲線Aを高濃度側に平行移動させる。
3 非競合的アンタゴニストは、完全アゴニストによる最大反応には影響せず、曲線Aを高濃度側に平行移動させる。
4 逆アゴニストは、曲線Aを低濃度側に平行移動させる。
5 完全アゴニストに化学修飾を加え、内活性は変えずに受容体に対する親和性だけを上げると、その濃度-反応曲線は、曲線Aより低濃度側に位置する。
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解答 2、5
完全アゴニストは、受容体に100%結合した時、その受容体を100%活性化できるものをいう。完全アゴニストの内活性(固有活性)は1である。
1 誤
部分アゴニストの内活性は0から1であり、単独で飽和濃度まで受容体に結合しても反応は100%とはならない。そのため部分アゴニストは、完全アゴニストに対して競合的アンタゴニストと同様の作用を示すため、曲線Aを高濃度側に平行移動させる。
2 正
競合的アンタゴニストは、受容体に可逆的に結合し完全アゴニストによる活性を減弱させるため、曲線Aを高濃度側に平行移動させる。
3 誤
非競合的アンタゴニストは、完全アゴニストが結合する部位とは別の結合部位(アロステリック部位)に結合、または完全アゴニストの結合部位に非可逆的に結合することにより完全アゴニストの作用を減弱させるものをいう。そのため非競合的アンタゴニストは、完全アゴニストによる最大反応を低下させる。
4 誤
受容体には、アゴニストが結合していない状態でも、恒常的に活性化して反応を示しているものが存在する。逆アゴニストは、そのような受容体に結合し、受容体が元々もつ恒常的な活性を減弱させるものをいう。そのため逆アゴニストは、最大反応が負になる。
5 正
完全アゴニストに化学修飾を加え、内活性は変えずに受容体に対する親和性だけを上げると、完全アゴニストの受容体に対する結合能力が高くなるため、その濃度-反応曲線は曲線Aより低濃度側に位置する。
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解説動画1 ( 11:54 )
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