薬剤師国家試験 令和05年度 第108回 - 一般 実践問題 - 問 246,247
55歳女性。数ヶ月前から身体のだるさや疲れやすさを感じていた。最近、まぶたが重く物が見えにくくなってきた。さらに、食べ物を飲み込みにくくなったため、近医を受診した。重症筋無力症を疑った医師から、診断のための検査をするにあたりエドロホニウム試験について薬剤師に問合せがあった。
問246(薬理)
エドロホニウムに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
ただし、図は、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)の活性中心において、アセチルコリンが加水分解される際の反応機構及びエドロホニウムの構造式を示す。
1 セリン及びトリプトファンと相互作用して、AChEを不可逆的に阻害する。
2 セリンをリン酸化して、AChEを不可逆的に阻害する。
3 トリプトファンをカルバモイル化して、AChEを可逆的に阻害する。
4 セリンと共有結合して、AChEを可逆的に阻害する。
5 トリプトファンと相互作用して、AChEを可逆的に阻害する。
問247(実務)
検査に先立ち、エドロホニウムの過度な作用発現に対処するために準備する薬物として、適切なのはどれか。1つ選べ。
1 d−クロルフェニラミンマレイン酸塩
2 アトロピン硫酸塩水和物
3 アドレナリン
4 ネオスチグミンメチル硫酸塩
5 シクロスポリン
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問246 解答 5
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)は、陰性部とエステル水解部で構成されており、陰性部のトリプトファン残基がアセチルコリン(ACh)の4級アンモニウムと結合(相互作用)し、エステル水解部のセリン残基がAChのエステル部分を加水分解することでAChを代謝する。
エドロホニウムは可逆的ChE阻害薬であり、4級アンモニウム構造を有しているため、AChE陰性部のトリプトファン残基と結合(相互作用)することで、AChEとAChの結合を抑制し、AChの代謝を抑制する。
問247 解答 2
エドロホニウムは、AChの代謝を抑制するため、AChの過剰なムスカリン作用(嘔吐、腹痛、徐脈など)が副作用として現れることがある。そのため、対処としてはムスカリン受容体遮断薬のアトロピンが用いられる。
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解説動画1 ( 12:58 )
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