薬剤師国家試験 令和05年度 第108回 - 一般 実践問題 - 問 256,257
30歳女性。気管支ぜん息治療のため、処方1及び2の製剤を継続使用している。
来局時、薬剤師は患者に対し最近気になることはないか尋ねたところ、次の回答を得た。
患者:「今まで発作は月1〜2回程度でしたが、最近、頻度が多くなっています。発作が出てしまう原因はわからないのでしょうか。」
(薬歴に記載された前回来局時までの患者情報)
事務職。仕事はほぼ定時だが、月に1回程度は残業がある。ダイエットを心がけているが、仕事中につい間食をし、ジュースを飲んでしまう。性格はまじめで、ストレスを溜めやすい。
問256(実務)
薬剤師は、生活環境の中に発作の原因がある可能性を考えた。患者から聞き取り収集する情報として、重要性の最も低いのはどれか。1つ選べ。
1 最近、残業が増えているか。
2 現在、痛み止めを服用しているか。
3 グレープフルーツジュースを飲んでいるか。
4 犬や猫などのペットを飼育しているか。
5 風邪の症状など体調不良が長引いているか。
問257(薬理)
患者への聞き取りの結果、生活環境が発作に関与している可能性は低いと考えられたため、処方1と作用機序が異なる長期管理薬の追加を処方医に提案することとなった。提案する薬物の作用機序として、適切なのはどれか。1つ選べ。
1 アセチルコリンM3受容体の遮断
2 アドレナリンβ2受容体の刺激
3 グルココルチコイド受容体の刺激
4 ロイコトリエンCysLT1受容体の遮断
5 アデノシンA1受容体の刺激
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問256 解答 3
気管支ぜん息の原因としては、ハウスダストやダニ、ペットの毛、花粉などのアレルゲンや、風邪やタバコ、精神的なストレス、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用などがある。
1 重要性が高い
本患者の性格は真面目で、ストレスを溜めやすいことから、残業によるストレスが気管支ぜん息の発作の原因である可能性があるため、最近残業が増えているかを聞き取り収集する必要がある。
2 重要性が高い
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用が気管支ぜん息の発作の原因である可能性があるため、痛み止めを服用しているかを聞き取り収集する必要がある。
3 重要性が低い
本患者が使用している薬とグレープフルーツジュースとの相互作用が報告されているものはないため、聞き取り収集する必要はない。
4 重要性が高い
犬や猫などのペットの毛は気管支ぜん息の発作の原因である可能性があるため、犬や猫などのペットを飼育しているかを聞き取り収集する必要がある。
5 重要性が高い
風邪は気管支ぜん息の発作の原因である可能性があるため、風邪の症状など体調不良が長引いているかを聞き取り収集する必要がある。
問257 解答 4
気管支ぜん息治療薬の作用機序には、グルココルチコイド受容体刺激やM3受容体遮断、アドレナリンβ2受容体刺激、ロイコトリエンCysLT1受容体遮断、アデノシンA1受容体遮断、ホスホジエステラーゼⅢ阻害などがある。
処方1に含まれる成分のそれぞれの作用機序は、下記の通りである。
・フルチカゾン:グルココルチコイド受容体の刺激
・ウメクリジニウム:アセチルコリンM3受容体の遮断
・ビランテロール:アドレナリンβ2受容体の刺激
よって、処方1の作用機序とは異なる作用機序で追加提案できる薬剤は、ロイコトリエンCysLT1受容体の遮断作用を持つモンテルカストである。
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解説動画1 ( 03:32 )
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