薬剤師国家試験 令和05年度 第108回 - 一般 実践問題 - 問 316,317
30歳男性。喫煙歴10年。1週間前から禁煙を決意し、自分でたばこをやめてみた。しかし、このまま禁煙が続けられるのか不安があり、薬局を訪れて薬剤師に相談した。
男 性:禁煙に関して相談してもよろしいですか。
薬剤師:なんでもどうぞ。
男 性:実は、1週間前にたばこをやめてから、ここ数日イライラしてしまって、禁煙をこのまま続けられるか不安です。
薬剤師:1週間禁煙は続けられたけれども、これからも続けられるのか不安なのですね。
問316(法規・制度・倫理)
禁煙支援では行動変容のステージに合わせて支援することが重要である。この男性の行動変容のステージに対する薬剤師の働きかけとして、適切なのはどれか。1つ選べ。
1 無関心期(前熟考期)なので喫煙による問題に気づくよう支援し、禁煙への関心を高める。
2 関心期(熟考期)なので禁煙に関心を持ちだしたことを評価する。
3 準備期なので禁煙行動実施の宣言をしてもらう。
4 実行期なので禁煙が継続できていることに焦点を当てて行動を強化する。
5 維持期なので自己効力感を高めるために禁煙が持続できている秘訣を話してもらう。
問317(実務)
この男性と以下のやり取りをした後の、薬剤師の説明内容として正しいのはどれか。2つ選べ。
男 性:もし今後、禁煙が続かなくなりそうになったら、禁煙補助薬を使うことも考えてみたいのですが、どのような禁煙補助薬が薬局で買えるのか教えてください。
薬剤師:はい。一般用医薬品の禁煙補助薬の特徴や種類についてご説明します。
男 性:はい、参考にします。
1 ニコチン製剤はニコチン離脱症状をやわらげることが期待できます。
2 ニコチンパッチ製剤を使用しながら段階的に喫煙本数を減らすことができます。
3 ニコチンパッチ製剤は、複数枚貼ることができるので、量を調節しやすいです。
4 ニコチンガム製剤とニコチンパッチ製剤を同時に使用することはできません。
5 現在、一般用医薬品として販売されている禁煙補助剤はニコチン製剤とバレニクリン製剤があります。
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問316 解答 4
行動変容とは、健康保持・増進または病気の改善のために行動・ライフスタイルを望ましいものに改善することをいい、人が行動(生活習慣)を変える場合には、以下の「無関心期(前熟考期)」→「関心期(熟考期)」→「準備期」→「実行期(行動期)」→「維持期」の5つのステージを経由すると考えられている。
上表より、本患者は禁煙開始1週間であるため、実行期であると考えられる。
問317 解答 1、4
1 正
ニコチン製剤は、禁煙時のイライラ・集中困難・落ち着かないなどのニコチン離脱症状を緩和するための医薬品である。
2 誤
ニコチンを過量に摂取してしまう可能性があり、副作用が現れやすくなるため、ニコチンパッチ製剤を使用しながら喫煙を行なってはならないように指導する必要がある。
3 誤
ニコチンを過量に摂取してしまう可能性があり、副作用が現れやすくなるため、ニコチンパッチを複数枚貼ることはできないと指導する必要がある。
4 正
ニコチンを過量に摂取してしまう可能性があり、副作用が現れやすくなるため、ニコチンガム製剤とニコチンパッチ製剤を同時に使用してはならないと指導する必要がある。
5 誤
ニコチンガム製剤やニコチンパッチ製剤は一般用医薬品として販売されている禁煙補助剤である。また、バレニクリン製剤は一般用医薬品としては販売されておらず、医療用医薬品のみである。
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解説動画1 ( 05:29 )
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