薬剤師国家試験 令和05年度 第108回 - 一般 実践問題 - 問 322,323
薬剤師と以前から交流のあった医師が、高齢化の進むある地方で保険医療機関を数年前に開設したが、近隣地域には保険薬局がなかった。そのため、この薬剤師は保険薬局を開設することを計画し、地域の住民に貢献するため、将来的には健康サポート薬局の届出をしようと考えている。
問322(法規・制度・倫理)
保険薬局の指定を受けるにあたり、保険薬局における留意点を確認し方針を検討した。以下の内容のうち正しいのはどれか。1つ選べ。
1 当該保険医療機関から保険薬局への専用通路を設置し、一体的な構造にする。
2 当該医療機関と経営主体が同一とならないよう配慮する。
3 当該保険医療機関に対価を支払って患者を誘導してもらう。
4 介護事業者に在宅の患者紹介を依頼し、紹介された患者数に応じて紹介料を支払う。
5 初回利用の患者は一部負担金の支払いを免除する。
問323(実務)
計画している内容の中で、健康サポート薬局である旨を表示しようとする薬局に、求められている基準でないのはどれか。1つ選べ。
1 患者への情報提供及び指導について、一元的かつ継続的に行うかかりつけ薬剤師を、患者が選択できるようにする。
2 地域の医療機関や地域包括支援センター、市区町村の保健センターなどを薬局利用者に適切に紹介できるようリストを作成する。
3 健康サポートに係る研修を修了した一定の実務経験を有する薬剤師が常駐する。
4 薬の相談会等、健康の保持増進の支援に関する取組を行う。
5 他の薬局に対して、がん患者のサポートに関する定期的な研修を実施する。
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問322 解答 2
1 誤
保険薬局は、保険医療機関と一体的な構造としてはならないため、当該保険医療機関から保険薬局への専用通路を設置してはならない。なお、一体的な構造とは、土地又は建物が分離しておらず、公道又はこれに準ずる道路を介さずに専用通路等により行き来するような形態のものをいう。
2 正
保険薬局は、保険医療機関と一体的な経営を行ってはならないため、当該医療機関と経営主体が同一とならないよう配慮しなければならない。
3 誤
保険薬局は、保険医療機関(又は保険医)に対し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならないため、当該保険医療機関に対価を支払って患者を誘導させてはならない。
4 誤
保険薬局は、事業者又はその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業の健全な運営を損なう恐れのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならないため、介護事業者に紹介された患者数に応じて紹介料を支払う旨の在宅の患者紹介を依頼してはならない。
5 誤
保険薬局は、患者に対して、健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、当該患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならないため、初回利用を理由に一部負担金の支払いを免除してはならない。なお、災害や失業等により生活が困難となった場合においては、申請により一部負担金の徴収猶予及び減免ができる場合がある。
問323 解答 5
他の薬局に対して、がん患者のサポートに関する定期的な研修を実施することを基準とするのは、専門医療機関連携薬局の基準であり、健康サポート薬局の基準ではない。以下に健康サポート薬局である旨を表示するために適合しなければならない基準の概要と具体例を示す。
【健康サポート薬局の基準の概要と具体例】
①かかりつけ薬局としての基本的機能
>患者への情報提供及び指導について、一元的かつ継続的に行うかかりつけ薬剤師を、患者が選択できるようにする。(選択肢1)
②健康サポートを実施する上での地域における連携体制の構築
>地域の医療機関や地域包括支援センター、市区町村の保健センターなどを薬局利用者に適切に紹介できるようリストを作成する。(選択肢2)
③常駐する薬剤師の資質
>健康サポートに係る研修を修了した一定の実務経験を有する薬剤師が常駐する。(選択肢3)
④設備
>仕切り等で区切られた相談窓口を設置する。
⑤表示
>薬局の外側に健康サポート薬局である旨を表示する。
⑥要指導医薬品等、介護用品等の取扱い
>利用者自らが適切に選択できるような供給機能及び助言を行う体制を整える。
⑦開局時間
>平日の営業日には連続して8時間以上の、土日のいずれかの曜日には4時間以上の開局を行う。
⑧健康サポートの取り組み
>薬の相談会等、健康の保持増進の支援に関する取組を行う。(選択肢4)
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