薬剤師国家試験 令和05年度 第108回 - 一般 実践問題 - 問 340
20歳男性。中学生の頃から夜間不眠かつ日中強烈な眠気を自覚するようになった。高校2年になり、自分の意志で制御出来ない眠気に襲われるようになり、就寝後は最長2時間の睡眠と5〜10回の夜間覚醒を繰り返し、起床時の疲れと頭痛、日中の脱力発作、突然の睡眠発作や自転車の居眠り運転が日常となった。生活の維持が困難となり、20歳になって近隣の精神神経科病院を受診した。専門医による診察と検査の結果、ナルコレプシーと診断され、処方1及び2で治療を開始したが、3ヶ月経過しても症状が改善されないため、今回処方1が処方3に変更された。
変更後の処方箋を受け取った薬局薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 処方医・医療機関が処方3の薬剤の流通管理システムに登録済であることを確認する。
2 処方3の薬剤の流通管理システムは薬剤費の抑制を目的としている。
3 処方2の用法について就寝前ではなく朝ではないかと処方医に問い合わせる。
4 処方3の用法について朝食後就寝前ではなく朝昼食後ではないかと処方医に問い合わせる。
5 返却された処方1の薬剤の残りを適切に廃棄・記録し、都道府県知事に届ける。
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解答 1、4
1 正
メチルフェニデート塩酸塩錠(リタリン®️錠)は、リタリン流通管理委員会により『リタリン流通管理基準』が策定されており、本剤に関わる全ての該当者は例外なく準拠することが求められる。本剤の処方箋を受け取った薬局薬剤師は、調剤の都度、処方医・医療機関がリタリン流通管理委員会に登録済であることを確認する必要がある。なお、処方医・医療機関が未登録の場合、調剤を断る必要がある。
2 誤
メチルフェニデート塩酸塩錠(リタリン®️錠)は、乱用・不正使用が多数発生したことをふまえて2007年にリタリン流通管理委員会により『リタリン流通管理基準』が策定された。したがって、本薬剤の流通管理システムは、薬剤費の抑制ではなく、乱用・不正使用を排除することを目的としている。
3 誤
ナルコレプシーでは、REM睡眠関連症状として体の力が抜けてしまう情動脱力発作がみられるため、REM睡眠の発生を強く抑制することのできる抗うつ薬であるクロミプラミン塩酸塩錠(アナフラニール®️錠)が処方されている。本剤は、眠気の副作用があるため、一般的に就寝前に服用する。
4 正
メチルフェニデート塩酸塩錠(リタリン®️錠)は、覚醒効果があるため就寝前の服用は不適切である。したがって、朝食後就寝前から朝昼食後への用法変更の疑義照会をする必要がある。
5 誤
患者に交付されたモダフィニル錠(モディオダール®️錠:第一種向精神薬)が返却された際は、焼却や酸、アルカリによる分解など回収困難な方法で廃棄を行えばよく、廃棄の記録や都道府県知事への届出は不要である。なお、処方前の向精神薬を廃棄する場合、許可や届出の必要はないが、第一種及び第二種向精神薬を廃棄するときは記録を行い、2年間保存しなければならない。
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