薬剤師国家試験 令和05年度 第108回 - 一般 実践問題 - 問 342
48歳女性。以前から腹部膨満感や下腹部の痛みを自覚していた。病院を受診したところ卵巣がんが判明し、Stage Ⅲと診断され手術が施行された。術後化学療法としてパクリタキセル、カルボプラチン(TC療法)とベバシズマブによる併用療法が開始となった。薬剤師が行う薬学的関与として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 治療中は、定期的な尿検査によって尿タンパクの有無を確認する。
2 パクリタキセル投与に伴い、予防的な低カリウム血症対策を実施するように医師に提案する。
3 血圧が上昇したときは、ベバシズマブの中止を医師に提案する。
4 腎障害予防策として、カルボプラチン投与前後に十分な補液と利尿剤の投与が実施されているかを確認する。
5 カルボプラチンの投与量の監査は、腎機能を考慮して行う。
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解答 1、5
1 正
ベバシズマブは血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬であり、腎糸球体血管内皮細胞の形成および修復阻害により、重大な副作用としてネフローゼ症候群を起こすことがあるため、本剤投与中は定期的な尿検査によって尿タンパクの有無を確認する必要がある。なお、高度のタンパク尿がみられた際には、本剤の投与を中止し適切な処置を行う。
2 誤
本症例のパクリタキセル投与において、低カリウム血症を引き起こす可能性は低いため、特に対策は必要ない。
3 誤
ベバシズマブは血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬であり、血管拡張や血管形成などの阻害により、副作用として高血圧となることが多いため、本剤投与中は定期的な血圧測定と、降圧薬によるコントロールが必要である。なお、重度の高血圧により、高血圧性脳症や高血圧性クリーゼがみられた際には、本剤の投与を中止し適切な処置を行う。
4 誤
シスプラチンに比べ、カルボプラチンやオキサリプラチンは腎障害を起こしにくいため、輸液による水分負荷は必要ない。なお、シスプラチンは副作用軽減のために投与前に1日3,000 mLの輸液を投与する必要がある。
5 正
カルボプラチンを投与する際には、腎機能を考慮して投与量を決定・監査する必要がある。なお、カルボプラチンの投与量はカルバートの式により算出することができる。
カルバートの式:投与量=目標AUC×(GFR+25)
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解説動画1 ( 10:54 )
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