薬剤師国家試験 令和05年度 第108回 - 一般 理論問題 - 問 91
放射線と物質の相互作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 放射線は粒子放射線と電磁波放射線とに分類される。
2 α線は物質を通過するときに物質中の原子と相互作用し、飛跡がジグザグ状になる。
3 β-線の透過放射線量は、吸収体の厚さに対して直線的に減少する。
4 電離作用の強さは、α線<β-線<γ線の順である。
5 γ線は物質と相互作用するとき、光電効果、コンプトン効果又は電子対生成によりエネルギーを失う。
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解答 1、5
1 正
放射線は、α線やβ線などの質量をもった粒子の流れである粒子放射線とγ線やX線などの質量をもたないエネルギーの流れである電磁波放射線とに分類される。
2 誤
α線は物質を通過するとき、飛跡が直線状になる。なお、物質を通過するときに物質中の原子と相互作用し、飛跡がジグザグ状になるのはβ線である。
3 誤
β線やγ線の透過放射線量は、吸収体の厚さに対して指数関数的に減少する。
4 誤
電離作用の強さは、α線>β-線>γ線の順である。
5 正
γ線は物質と相互作用するとき、光電効果、コンプトン効果又は電子対生成によりエネルギーを失う。なお、光電効果、コンプトン効果、電子対生成の概要を以下に示す。
光電効果とは、低エネルギーのγ線が軌道電子の1つに全エネルギーを与えて、光電子を放出する現象である。
コンプトン効果とは、中エネルギーのγ線が電子に衝突してエネルギーの一部を電子に与えて、電子を放出し、自身はエネルギーの小さい全く別のγ線となって入射方向と異なった方向に散乱される現象である。
電子対生成とは、高エネルギーのγ線が原子核の近くを通過するとき、軌道電子以外に一対の陽電子と陰電子を作り出し、γ線自身は消滅する現象である。
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