薬剤師国家試験 令和06年度 第109回 - 一般 理論問題 - 問 118
炎症に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 発赤は、炎症の兆候の一つで、赤血球が血管外に浸潤する現象である。
2 補体成分のC3bとC5bは、肥満細胞からヒスタミンを遊離させるアナフィラトキシンである。
3 P−セレクチンは、血管内皮細胞の表面に発現し、白血球の炎症部位への動員に関わる。
4 Toll様受容体は、主に炎症後期に線維芽細胞の活性化に関わり組織修復を促す。
5 炎症時には、肝臓でのC反応性タンパク質の産生が亢進する。
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解答 3、5
1 誤
炎症は抗原侵入に対する生体防御機構の一つであり、炎症の兆候には発赤、腫張、熱感、疼痛などがある。このうち、発赤はマクロファージなどから放出されたサイトカイン等による血管拡張に伴う充血が原因で生じる。一般的に、発赤により赤血球が血管外に浸潤することはない。
2 誤
肥満細胞からヒスタミンを遊離させるアナフィラトキシンは、補体成分のC3aとC5aである。アナフィラトキシンは、肥満細胞や好塩基球などに作用してヒスタミンやロイコトリエンなどの炎症性化学伝達物質を分泌させることにより、炎症反応を促進する。
3 正
炎症時の白血球の血管外遊走には、さまざまな細胞接着分子が関与する。血管内皮細胞上に存在するセレクチン(P−セレクチンやE−セレクチン)は、白血球表面の糖鎖と結合し、白血球の遊走(白血球の炎症部位への動員)に関与する。
4 誤
Toll様受容体は、免疫反応初期の自然免疫における自己・非自己の識別に関わるパターン認識受容体の一種であり、微生物などの特徴的なパターン構造を認識して免疫反応を誘導する。
また、炎症後期に線維芽細胞の活性化に関わり組織修復を促すものには、TGF−β(形質転換増殖因子)などがある。炎症環境において、TGF−βは、線維芽細胞などを活性化させ、コラーゲンやラミニン、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の産生を増強させることで、炎症において影響を受けた組織の修復に関与する。
5 正
C反応性タンパク質(CRP)は、微生物の感染や炎症などにより肝臓での産生が亢進し、血液中に放出されるタンパク質である。そのため、C反応性タンパク質は炎症マーカーとして利用される。
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解説動画1 ( 10:04 )
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